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近衛予備隊-51 [高校生バトル-48]

 店で働く様になってから色々な人と接することになり、改めて予備隊のみんなは分かり易いと感じている、改めて、と言うのはフロアマネージャーと話す様になり始めた頃に、こんな会話が有ったからだ。

「予備隊の子達はみんな素直だね。」
「そうですか、自分には比較する対象がなくて良く分かりません。」
「はは、ジョンは例外かも知れないな、でも君は彼らが何を考えているのか、話を聞かなくても分かるみたいだが?」
「まあ、ずっと一緒でしたから。」
「なるほど、でもジョンの様に他の子の考えが分かる子は少ないのではないかな。」
「言われてみれば、そうかも知れません。」
「ジョンはみんなの気持ちが分かるみたいだが、その能力はどうやって身に着けたのだ?」
「あまり考えたこと有りません。」
「どうだ自己分析をしてみないか、隊員の中には自分のことしか考えられない子もいるだろ、どうして君と彼は違うのか。」
「う~ん…、親からは要領が良いと言われていまして…。
 兄弟や親戚が多いのですが、その中でより楽に生活する為、彼らの気持ちを考えることを自然にしていたのかも知れません、その結果、大人に怒られることもなくて…。」
「人の心を読んで来たのだと思うが、それを人に話した事は?」
「そんな話をしたら…、嫌がられませんか?」
「そこまで分かってるのなら安心だな、私はそれで失敗したことが有ってね、無自覚に相手の心を読み取っていた内容を口にしてしまって、それ以来怖がられてしまったんだ。」
「そうでしたか、でも、女の子にはさり気に少しだけ話して上げると、自分のことを分かってくれてると喜んでくれませんでしたか?」
「私は若い頃、君とは違って要領が悪くてね、失敗を糧に成長したとは思っているのだが。
 まあ、君はその才能を今後、接客などでも活かして行けると良いね、子ども程分かり易くないかも知れないが、見てればそれなりに分かるものだよ、まずは人物の観察からかな。」
「分かりました、そう言う気持ちで、ここの大人達とも向き合ってみます。」

 こんな話を思い出したのはエミリーの授業による。
 客の心理を考えることから始まった彼女の話は、皆にとって耳慣れない単語が出て来る度に意味を知る必要が有り、エミリーをイラつかせはしたが、客の心理を考えた店作りと言うテーマは興味深く面白かった。
 フロアマネージャーからも簡単に教えられて来たことだが、更に踏み込んだ話もして貰えた。
 客が棚に置かれた商品を見て何を考えどう判断するかは、売り場のレイアウト、商品の置き方などが関係し商品の売り上げに影響する。
 直ぐには理解出来ないメンバーもいたが、そんな彼らに授業の意図を説明出来たのはフロアマネージャーから色々教えられて来たからだ。
 授業を受けてから店内の確認作業を始めてみると、店内レイアウトなどに関する指示書の意味が分かっただけでなく、自分が指示した幾つかは間違ってなかったと思えて嬉しかった。
 勿論、修正すべき点も幾つか出て来て皆で相談することになったのだが、店のオープン前はお金持ちの客が何をどう考えるかなんて知る由もなく、自分が短期間で多くを学んだのだと言うことに気付かされもした。
 フロアマネージャーには改めて感謝と尊敬の念が増し、これからの修正作業は彼に喜んで貰えるものにしたいと思う。
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