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大銀河帝国-08 [シトワイヤン-32]

国境近くのキャンプ地は大規模なものになった。
大銀河帝国舞姫さま特別警護隊が守る外側をこの国の軍隊が更に固めてくれたが、その周囲には姫さまの祝福を感じられるエリアが広がり、隣国の内戦を気にしない人達が集まって来ている。
過去の遺物の様な神では無く、人々を分け隔て無く癒して下さる姫さまの噂は大きく広まっていて、舞姫さまの前にイスラム教は無力化されつつある様だ。
陸路や空路で補給物資が届けられているので食事の質は落ちる事無く、給水車や電源車が姫さまに不自由な思いをさせていない。
大銀河帝国の移動販売車は姫さまグッズを売りまくっているが、巡礼者目当ての行商人も来ている。
元々何もない所だったのだが、隣国で争う勢力の支配地域を考慮して選ばれただけのこの地は、今後新たな町となるのかも知れないと朧げに考えている。
ただ、この地に来て一週間、状況は進展せず思わしくない。

「和馬さん、彼らからの動きは無いのですか?」
「ああ、智里が叱り飛ばさないと駄目なのかもな。」
「ホント、叱り飛ばしてやりたいわ、はっきりしない態度で。」
「それでも、国境の向こう側、姫さまの祝福を充分に感じらる筈のエリアに人が集まってるのだから、この時間も無駄にはなっていないと思っているよ。
国境を越えて来る人でも武器を持っていなければ、このキャンプ地での買い物を自由にさせてるしね。
姫さまの祝福をどれぐらいの人が感じてるのかは、さっぱり分からないが、その中に各陣営の幹部が紛れ込んでいてもおかしくない。
互いに牽制し合いつつも、彼らなりに落とし所を模索してると信じているんだ。」
「根拠は有るのですか?」
「王子さまが交渉を始めてから、戦闘行動はすっかり納まっていることが確認されてる。
姫さまからの調停案の中には、大銀河帝国を信じられないと受け入れられない案も有る。
客観的に見て最も楽に内戦状態からの復興が出来る案だから、彼らなりに調べているのではないかな。」
「如何にして他の勢力を出し抜いて優位に立つのか考えていそうな人達ですが…。」
「入って来ている情報では、各陣営とも指導者を支持する力が弱まっているみたいなんだ。
まあ、命ぜられるがままに動いて来た人達が疲弊している所へ、姫さまの登場というタイミングなのではないかな。
内戦に疲れて内部分裂の可能性も有る、更なる混沌を招きかねない状況を解決するには、絶対的な指導者が必要だね。」
「そんな人がいたら内戦状態にはならなかったでしょうが、指導者に心当たりでも?」
「姫さまに従う人は少なくないと思うのだが。」
「それは…。」
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