SSブログ

舞姫さま-04 [シトワイヤン-31]

鎮魂歌の制作には時間が掛かった。
万里は作詞家や作曲家達と直接会って意見交換したり、メールやテレビ電話のやり取りで作業を進めたが、東南アジア歴訪などのプログラムが有ったからだ。
そんな中、一番早く完成したのはドイツ語版、万里が言葉の響きを気に入り作業が早く進んだ。
『地球上に生を受け死んで行った全ての為のレクイエム』、その録画はベルリンでドイツの著名な男声合唱団をバックに行われた。
万里の祝福を感じながら歌うプロの歌声は万里を心地良くさせ、万里の歌も舞も何時も以上の仕上がりに。
そして、舞姫さまの祝福を感じられたエリアは今までで最大規模になったとの報告が届いた。

「万里、今日の演奏は少し長めだったけど大丈夫?」
「ええ、合唱だけのパートも有ったからね、団員の人達は何テイクか録画すると思っていたそうで一回でOKが出たことに驚いたみたい。
しっかり準備しておいて下さったし、曲の意味を理解して真剣なのが伝わって、そうね相乗効果で良い作品になると思う、後は編集にお任せね。」
「今までで最高の出来だったと思うわ、毎回そう思うのだけど。
ドイツ語でも、世界中でかなり売れるでしょう、予約が殺到する様にプロモーションもしっかりやって行くからね、舞姫さまの森を維持管理して行くぐらいの費用は軽く捻出出来ると思うわ。」
「まだ他の言語バージョンが残ってるのだけど。」
「そう言えば、アラビア語は兎も角、日本語版で苦労してるそうね。」
「うん、鎮魂歌のイメージと日本語が上手く噛み合わないのよ、アラビア語みたいに全く知らない言語の方が歌い易かったりして、次は英語かアラビア語、その後フランス語になりそうだな。」
「急ぐ必要は無いわ、お経だって何言ってるのか分かんないでしょ、ドイツ語版は絶対売れてお葬式とかでも使われると思うのよ、日本でもね。」
「それなら、アラビア語を優先しようかな、歌詞はアラビア語だけど曲想は日本風という方向性で進んでるの、ドイツ語版はレクイエムだけどアラビア語バージョンの日本向けタイトルは鎮魂歌にするからね。
その方がイスラムの指導者に対する刺激が少なくて良いでしょ。」
「そうね、英語版より先に出したら、それだけで喜んで貰えるかも知れない、録画はどこにしようか?」
「アラビア語バージョンはどこかの民族楽器を少しだけ使うつもりだからどこでも構わないのだけど、王子に喜んで貰っておいた方が後々プラスになるでしょ。」
「じゃあその方向で、暑い時期を避けるタイミングで録画に取り組めそうかしら。」
「大丈夫よ、舞姫の社周辺の地下施設工事がどれぐらい進んだのかも見て来たいよね。
早めに連絡しておけば、地下にスタジオとか作ってくれるかも。
そうだ、謎の王宮とかを設定して、撮影後、そのまま観光客向けの施設にとか提案してみようか、あの王子さまなら乗ってくれると思うな。」
「少しストーリーを持たせるのね、元は鎮魂歌という同じコンセプトでも一曲毎に違った形で発表して行くのも面白いわね。」
「う~ん、残った言語版のハードルがまた上がってしうまうのかな…。」
nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 9

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。