SSブログ

舞姫さま-03 [シトワイヤン-31]

舞姫さまの森構想をあっさり受け入れて貰えたのは、舞姫さまの社に付加価値を付け加えて行きたいという思惑がスタッフに有ったから。
すぐに会社名義の山が増え、その再生プロジェクトがスタートした。

「お姉ちゃん、凄い勢いで山を買い進めてるけど、取得費用は兎も角、固定資産税とかは大丈夫なの?」
「大丈夫よ、日本の森を守る為だもの、舞姫さまの社が絡んでる所はそこの利益で軽くカバー出来るレベル、でも心配なら新作DVDを出す?」
「そうね…、保留にしてた鎮魂の舞、鎮魂歌と舞を組み合わせたのをイメージしてるのだけど、地球が誕生し、その海や大地に生まれ育ち死んでいった全ての命の為のレクイエムというのはどうかな?」
「壮大な発想なのね、何かきっかけが有ったの?」
「うん、某神社、日本の為に亡くなった人を祀るという発想は悪く無いのだけど、結局日本という視点でしか捉えられていないでしょ。
全ての戦没者、いえ、今の世界の礎を築いて来た全ての生き物に感謝する気持ちが有って良いと思うの、ミジンコに対してもね。」
「ミジンコ?」
「ミジンコを餌にして成長した魚を食べたりしてないかしら、ならば、ミジンコの命にも感謝しないと。」
「そうよね…、万里はあまりそういう事を話して来なかったけど、舞姫さまの祝福、その根源は全ての命に対する愛と考えれば良いのかしら。」
「う~ん、お肉を頂いたりしてるから残酷な愛かも、でも生きとし生けるものの摂理でしょ。
ただ、地球は多くの動植物や微生物がいて成り立っていると思うの。」
「うん、分かってたつもりだったけど…、鳥達のさえずりを身近に感じられる環境とか、でもその餌にも感謝しないとダメなのね。」
「そうよ、お姉ちゃんは特に沢山食べる人なのだから。
お姉ちゃんの餌となって行った多くの生き物達の為の鎮魂歌という設定でも良いのだけど。」
「そんな設定をされたら痩せてしまいそうだわ。」
「大丈夫、お姉ちゃんの食欲は何が有っても誰にも負けないよ。
それで、鎮魂歌は日本語で作ってから英語、ドイツ語、フランス語、イスラム圏に鎮魂という概念が有るのかどうか分からないけど、難しくてもアラビア語にも挑戦してみようと思うの。
プロの作詞作曲家と作って行きたいと思うのだけどどうかな?」
「人選に対しての希望は有る?」
「特にはないけど、イメージが合わなかったら交代して頂くという前提でお願いしたいかな。」
「分かったわ、まず日本語版の制作に協力してくれる人を探して貰うわ。
英語版とかは言葉に合わせて曲も変えた方が良いわね、ねえ、言語別に五曲同時進行にしておいて、作業の進んだものから完成させていくと言うのはどうかしら、相互に意見交換をして行けば完成度が高くなると思うの。」
「そうね、舞との兼ね合いも有るから少し時間を掛けたいし。」
「じゃあ鎮魂歌制作チームを立ち上げて貰うわね。」
「うん。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。