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改革-19 [シトワイヤン-30]

姫さまという存在がなかったら、私達は大きな夢を描くこともなく、せめて日本が少しはバランスの取れた国になってくれたらと、市民政党若葉のメンバーと共に悪戦苦闘していただろう。
姫さまの存在抜きでは、多種多様な価値観の持ち主達が手を取り合って地球の明日を考える事など有り得ない。
人間は、長年に渡って利害関係によって争って来た、時には生き残る為に、時には自分達の勢力を広げる為に。
暴力的な手段こそ減ったものの、今も形を変え続いていることだ。
我々のスタートも似たようなもの、まず、舞姫フレンズと地球市民党の勢力を拡大しようとしているのだから。
ただ、その先には、国連などが足元にも及ばない世界規模の組織を思い描いている。
そして、どれだけ時間が掛かろうが、清香村の住人にとって村がユートピアで有るように、地上全体をユートピアにして行きたいと考えている、一部は地下や水中になるが。
こんな事は姫さまのいない世界で有ったなら、誰も相手にしない絵空事でしかないだろう。
だが、我々の辞書に載っている言葉で姫さまを表すのなら、神という言葉が一番近く、姫さまと共に有るというだけで、我々はこの世を楽園だと感じているのだ。

「姫さまは、日本に帰ったら何をしたいですか?」
「う~ん、愛華さんは?」
「私ですか…、贅沢な旅行で大切な人達とずっと一緒でした、日本に帰っても今のままで有ればと、考えてみれば特別したいというほどの事は有りませんね。」
「私も村の動物達がどうしてるか気にはなりますが、地球市民として地球が棲家、何処へ行っても私達を暖かく迎えて下さる方ばかりでしたので、日本へ帰るという意識は少しずつ無くして行けたらと考えています。」
「そうですね、しばらくは苗川で過ごしながら、国内に建てられた舞姫さまの社を回って頂く事になっていますが、その後は東南アジア歴訪が待ってます。
姫さま専用機はヘリと組み合わせて思っていたより使われる機会が多くなりそうですね。」
「観光特需を期待されてると聞きますが、私が一度訪問させて頂く程度で期待にお応え出来るのでしょうか?」
「舞姫さまの社は、二つとして同じデザインの物は有りませんし、舞姿のホログラムをメインにしていますが、それぞれの社毎に工夫してリピーターでも楽しめる様にしています。
新しい観光名所として、どの社もしっかり利益を出しているのですよ。
それがそのまま地域経済にプラスとなり、経済効果は当初計算していた以上になっていてまして、一時的なものではなく継続的に潤して行けるのです、著名な神社仏閣と同様に。」
「地方の活性化に繋がっているのですね。」
「はい、グッズ販売も好調、ほとんどが地方の工場で生産されています。
無理な生産体制を取らない様に指導して貰っていますので品切れもありますが、それが価値を高める事に繋がっています。」
「東南アジア諸国でも工場建設が始まっているのですよね。」
「今後は世界各地に工場が出来、互いに輸出入という形でグッズのバリエーションが豊富になって行きます。
勿論、品質を落とす事の無い様に最大限の注意を払って行く必要が有りますが、労働者の待遇を良くして行きますので、その地の経済に良い影響を与える事が出来るかと。」
「しかし、それによって立ち行かなくなる企業が出て来ないでしょうか?」
「その地にとって必要な会社なら簡単には倒れないと思いますが、場合によっては買収して面倒を見て行く事も視野に入れています。
スタッフの中には積極的に買収し企業改革を進めて行く事で、その地の社会改革に繋げて行けると考える者もいまして、子会社が半端なく増えてしまうかも知れません。」
「全体の労働環境を向上させるということですね。」
「その国の状況を見ながらの改革になりますが、姫さまの名前を傷つける様な事にはならない様に、私達が言うまでもなく、スタッフ達は心得ています。」
「少しぐらい良いのですよ、あまり完璧すぎると皆さん疲れてしまうのでは有りませんか。
アンチが多少いるぐらいが健全なのですよ。」
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