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改革-09 [シトワイヤン-29]

MAIHIME TOWNの仮設オフィスでは日米のスタッフが世界各地からの情報を整理したり、各地のスタッフからの報告を受けたりしている。
それによると、欧米では、舞姫フレンズの拡大と共に地球市民党の党員になる人が増え、市民改革への議論が熱を帯びて来ている。
どの国にも程度の差こそ有れ歪は存在し、難民の問題も有り簡単に結論は出ない。
それでも、本間さんの提唱している『市民改革』はバランス重視。
その考えに影響を受けた人達が、貧富の差を無理なく解消して行くことを目標に、真剣に話し合っているそうだ。
ただ、その方向性は国や集団によってまちまちで、本間さん本を参考にしているグループでも、解釈に差が有ったりする。
結局、宗教が宗派を増やした様に舞姫フレンズ達も多くの派閥に分かれるのだろうが仕方のないことだろう。
そんな状況に対して、舞姫フレンズの本部も地球市民党本部も、しばらく静観することになった。
姫さまはそんな状況と関係なく…。

「姫さまは?」
「子犬達と戯れていたわよ、何でもトイプードル愚連隊というチームを作るそうで、まずは犬の躾について専門家から教えて貰い、舞台に上げられるレベルまで育てるのだとか。」
「姫さまは子ども向けの舞台を意識しておられるのかな。」
「少し人間的な部分を強調したいのではないかしら。
入って来る報告では、姫さまの神格化が進んでるでしょ。
さすがに、普通の女の子だとは口にされなくなったけど、複雑な思いが有ると思うわ。
智里には話してるみたいだけど、智里もその辺りの話は避けるのよね。」
「我々がとてつもなく大きな重荷を背負わせてしまったからな。
その負担を大きくしないために私達が同行してるとは言え、フォローし切れているとは…。」
「気軽に出歩けない不自由な生活でも、一般人の入れないエリア内での生活を楽しんでると智里は話してたわよ、キャッシーに頼んで用意して貰った動物たちのお蔭で。
オウムに歌を教えたり子猫で遊んだり、動物たちは姫さまを神様扱いしたりしないのが良いのでしょうね。
でも、キャッシーが用意してくれた動物を日本に連れて行くのは問題ないのかしら?」
「子猫にとって旅行は負担が大きいみたいなのでここで飼って貰うが、子犬とオウムは大丈夫だ、清香は清香村の別荘に動物達の部屋を増設する様、指示を出したと話してたよ。
子猫は姫さまと相談して日本で買おう、馬もね。」
「そっか、馬は借り物だったわね。
ねえ、姫さまが動物と触れ合う姿、姫さまとしては積極的に公開して欲しいのではないかしら。
人間らしくて。」
「ありのままの姫さまを世間に伝える映像としては良いだろうが、今後、神秘的な存在として演出して行くのか、人間的な部分を伝えて親しみを感じて貰うのかは微妙だな。」
「う~ん、姫さまと相談しておくべきね、今まで何となく神秘的な部分を強調してきたけど。
姫さまは遠慮されてか、その辺りのこと、あまり話されないでしょ。」
「そうだな夕食の時にでも相談しようか。」
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