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パリ-20 [シトワイヤン-26]

ハワイに入って来る情報によると、ヨーロッパで、舞姫さまの祝福という初めての経験をした人は、その後大きく二つに分かれた様だ。
祝福を素直に受け入れ、姫さまに感謝しDVDや写真などを購入、ファンとなり舞姫さまの魅力を説く者と、癒されたものの、それまでのしがらみに囚われ戸惑っている者達だ。
だがそのどちらもが地球市民党の理念と向き合っている。
『地球の市民として自分に出来ることを考える』とは姫さまがスピーチで強調してくれたテーマ。
そして鳥たちとの戯れは、地球に生きる者は人間だけではないと受け止められた様で、宗教団体より早く環境団体が地球市民党に接触して来た。

気になるのは地理的な問題で祝福を感じる事が出来なかった人達だ。
情報は広く伝わっている。
その情報だけで舞姫さまの深く暖かい愛を信じられるのだろうか。
信じる者は救われると言うが…。
DVDは、相変わらず売れ続けていて、聖書の様な扱いになって来ているという。
神という不確かな存在に対しての舞姫さま。
宗教関係者達も議論してるのだろうが結論を簡単に出すことは出来ない様で、まだ大きな動きはない。
世界が静かに動いている中、長かった旅行は終わりの時を迎え明日、帰国の途に就く。

「姫さま、日本に帰ったら何をしたいですか?」
「そうですね、フクロウのドウーフワンコビッチ三世と世界情勢について語り合うふりして一方的に話したいかしら。」
「ストレス発散?」
「頭の整理みたいなことです。」
「人間とは?」
「苗川の人達とはずっとメールでやり取りしてましたので…、大袈裟な出迎えはしないで下さいと。
でも、空港の話、聞きましたか?」
「はい、暇な人達がもう集まり始めてるそうですが、それはそれで良いじゃないですか、地方空港へチャーター機で降り立つ、地方経済に貢献出来ますよ。
今回の衣装は天女の羽衣をイメージしてますが、姫さま、最近身長が伸びてますよね。」
「ふふ、刺激を受けたからかしら、衣装担当に言われるまで気付いていませんでした。
帰ったら、大きくなったねって言われそうだな。」
「姫さまは旅行の前から私達を静かに守って下さる、大きな方でしたが、一段と…、人間としてと言って良いのか私には分かりませんが。」
「う~ん、人間ですよ、多分。
普通にお母さんから生まれた普通の人間の筈なのだけどな。」
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