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パリ-15 [シトワイヤン-26]

地球市民党のイベント期間中、様々な会議が開かれた。
国家間の立場から対立する意見も出ていたが、舞姫さまの影響下でも有り、穏やかに進んだ。
締め括りとして地球市民党の今後の指針が確認され発表されたが、宗教改革に関しては、まだ宗教指導者達を刺激すべきではないとの判断から見送られた。

そして最後のプログラムは舞姫さまの舞。
舞台上は至ってシンプル。
余計な装飾を施さないことで舞姫さまの美しさを際立たせている。
鈴を手に舞う姿が薄っすらと輝いて見えたのは照明の関係だけではないと思う。
生中継でも多くの人が目にしている筈だから、そこからのパワーも影響しているのだろうか。

舞を終え退場する姫さまに拍手は無かった。
会場中が静まり返り余韻に浸る。
舞を舞っている時、舞姫さまの力が最高になるのだと改めて実感した。

「姫さまは?」
「お休みになられました。」
「かなり消耗されたのかな?」
「そうでもないみたいですよ、二十分ぐらいが調度良いのかも、と話されていました。
明日はキャッシー達と市内を散策予定ですので早めに休むのだそうです。」
「なら安心かな、SNSの情報ではパリからかなり離れた所の人も舞姫さまの祝福を感じたそうなんだ、その分、姫さまが消耗されていないかと思ってね。」
「清香村の舞姫さまとなって頂いた頃より心身共に成長されたと思います、身長こそあまり伸びていませんが体力もついて…、女神さまのことをこんな風に話すのもおかしな気分ですが。」
「女神さまか、ご本人がどう感じておられるのか分からないが、落ち着いて受け入れて下さってる様に感じられるね。」
「通訳の人が話してたけど、舞姫さまの奇跡はニュース番組でも数多く取り上げられているそうよ。
何でも、一番迷惑してるのは警察官なのだとか。」
「えっ、皆さん癒されてないのかな?」
「自首する人が多くて忙し過ぎるって、贅沢よね。」
「それは大変そうだな。」
「教会関係者はキリストとの関係は分からないとしながら、慈善活動を活発化させる動きになっていて、それは一般市民からの要望に応える形で始まったそうなのよ。
余裕の有る人が弱者に手を差し伸べる、私達が市民の有るべき姿と考えていたことが、姫さまの力で実現されて行くということかしら。」
「地上が他人を思いやれる人ばかりになるのなら、人類の類としての進化とも言えることだと思うのだがな。」
「市民政党若葉や地球市民党がどんなに頑張っても、国境を挟む隣人同士の諍いは絶対無くならないというのが結論でしたね、多少の妥協は出来ても利害関係や感情論で過去に囚われ過ぎて未来を見られない人がいたりして。」
「それも第三者の目で見るとバカバカしいレベルのことなのよね。」
「そんな人達が、地球市民党の一員として、地球レベルで物事を考えられる地球市民となってくれたら、確かに人類の進化と言っても良いことです。」
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