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進路-02 [シトワイヤン-23]

本間塾はその体制を整え、私が高校を卒業する頃には、市民政党若葉から国政や地方行政に関わって行こうという人達が登録を始めた。
始めの内は本間さんが面接をし入塾の判断をしていたが、追い付かなくなり塾生が分担して面接を行う様になる。
この面接は万里の発案で、本人よりその家族や職場の同僚に重きを置いた。
中身の格好良さは本人には分からない部分が多い。
本間塾の塾生となるには、周りの人達が本当に尊敬し推薦したいと思える人で有ることを要求した。
現行の選挙制度は、人間的に問題のある人でも当選する可能性が有る。
本間塾の塾生からは、そんな人を政治の場に送り出したくはない。
そんな本間塾、スタートから一年半後には舞姫騎士団の結成を切っ掛けにアメリカからの塾生が加わる。

「お姉ちゃん、アメリカから本間塾へ参加する人達は、市民政党若葉と地球市民党、国家規模と世界規模の違いから生じている微妙な誤差をどう捉えているのかしら。」
「どこをどう妥協しあって行くかなのよね。
価値観の相違を当然のことと考え、その上で協力して行くのであれば互いに妥協点を探るしかないでしょ。
自分の意見を押し通すだけの人、母国の利益にしか目が行かない人は地球市民党の党員に相応しくないわ、私利私欲の人は問題外だけど。」
「その辺りを第三者の力を借りてでも納得して理解して貰えるかなのね。
まだ、地球市民党の理念を受け入れてる人達だからマシな人達なのだろうけど、塾生筆頭として調整役をして行くの?」
「出来る範囲でね、まあ、高校時代より自由な時間が多いから動き易いわよ、高校卒業して数か月、すごく充実してるのは万里が本間塾を提案してくれたからだね。」
「お姉ちゃんが自分の力を発揮出来てるのは本間さんや和馬さん達のお蔭でしょ。
本間塾塾生筆頭の肩書は大人の塾生が増える毎にその重みを増していると思うな、有名大学を卒業された方々の代表としてね。
大学からの講演要請も不思議じゃないもの、アメリカからも呼ばれているのでしょ?」
「あれはキャッシーの仕業よ、ついでに遊びと仕事をして行けば良いなんて言ってるけど、どれがメインなのか分かったものじゃないわ。」
「私も中学卒業したら塾生だけどどうなるのかしら。」
「万里の場合、高校の内容は済ませて有るのだから飛び級で大学という選択肢も有るのよね。」
「でも大学で何を研究するのか変に縛る必要はないし、多分どこへ行っても好奇な目で見られて、日本なら兎も角、アメリカだとまず小学生扱いされそうでしょ。
大学でなくても多くを学び経験出来る場が有るとお姉ちゃんが示してくれたから、それを追求したいと思ってる。
自発的な学習意欲と能力が有れば、高校も大学も必要としない選択肢が有る事を世の人に示したいかな。」
「でも、万里は特別な人だからと、その本当の意味を理解出来ない人が多そうだけど。」
「高卒と中卒の姉妹が活躍したら、学歴の為だけの進学とか見直してくれないかしら。」
「どうかしらね、親の価値観が有って…、でも、三流大学卒業の意味が薄れて来ていると聞いてるわ。
その辺りの理解が広まって、無駄な進学塾に家計を圧迫されてる人が減ると良いのだけど。」
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