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来日-07 [シトワイヤン-22]

キャッシーは帰国後、スタッフを日本に送り込んで来た。
まず、アメリカで放送するテレビ番組を日本で制作する方向で動き始め、その下準備としてディレクターを。
彼には自分が関わっている放送局のスタッフを紹介し協力関係を築いて貰う事に。
そして日本の放送局には、アメリカ人が見た日本、彼の番組を日本向けに編集し直して放送という提案をさせて貰った。
キャッシーとしては、ほとんど知られていない地方都市苗川からアメリカに向けて、万里と苗川を発信して行きたいとのことだ。
前後して訪日したのは清香のところで製造しているユニットハウスをアメリカで製造販売する責任者。
清香も出資し、新たな会社を設立する方向で話が進み始めている。
子どもが生まれたら一部屋増やせば良いという感覚で売り出す。
新しい町の建設が決定したら確実に需要が有る。
万里に会いに来日した精神医学関係の学者は私が間に入り、日本の研究者に日程を合わせて貰った。
万里の負担を軽くする為であり、万里が研究対象として拘束される時間を減らした。
それでも…。

「万里ちゃん、お疲れ様。」
「和馬さん、研究って良く分かりませんね、舞だけでなくひたすら撮影されましたが。」
「まあ、彼等なりに頑張っているのだよ。」
「頑張って何を?」
「君と背格好の似たアクトレスに、Citoyenから君が着てるのとそっくりな衣装を手に入れて舞を、バックの音は君のDVD音源をそのまま使ってね。
私も見させて貰ったが、なかなかの仕上がりだったよ。
でも、見た人の反応は全く違っていてね、取り敢えず音は、人を癒す君のDVDであまり大きな存在でないことが分かった。」
「比較研究ということですか?」
「ああ、これで注目すべきは万里ちゃんだと特定出来たわけだ。」
「まだ良く分からないのですが…。」
「君の舞い姿は人の心に良い影響を与えていることは間違いない。
だからキャッシーは舞姫に忠誠を誓う人で町を構成したら、苗川の様に出来るのではないかと考えているのだよ。」
「そう言われても、和馬さんはどう思われます?」
「良いと思う、そこから広がって行けば治安の良い町が誕生するだろう。
苗川の周辺は、元々犯罪の多い所では無いから目立っていないが、犯罪行為が減っているみたいなんだ。
内面の恰好良い人が増えてるだけでなく、万里ちゃんのファンが増えてるからだと思うね。」
「そうですか…。」
「キャッシーが君に夢中なのも君から何かを感じたからだろう、そしてその可能性を信じている。
アメリカに出来る新しい町のシンボルが日本の美少女なら、それだけでも注目を集めるだろうし。」
「でも、そんなに渡米出来ませんよ。」
「大丈夫さ、国民が国王の姿を直接見る機会なんてそんなに無いだろ。
日本で万里ちゃんを中心とした番組を制作しアメリカで流す。
キャッシーはそれを市民に見せることで市民教育しようとしてるんじゃないかな。」
「そういった話は聞かせて貰いましたが…。」
「何か問題でも?」
「私のことは女王様とお呼び、って言えば良いのでしょうか?」
「領主様ぐらいで良い気もするが、神の遣わした舞姫から造語という案が出てるね、具体的なのはまだだけど。
まあ、舞姫が向こうでも定着しつつ有るそうだから、その辺りで落ち着くんじゃないのか。」
「昔々有る所に舞を舞うしか能のない姫がおりました…。」
「あっ、お疲れかな?」
「はい、少し…。」
「食事の時間まで横になってて良いよ。」
「はい。」

万里は研究対象にされ、色々な要求に応え、随分疲れていた様だ、話に何時もの歯切れが無く。
万里の謎を知ろうというのは間違いだったのだろうか。
超美少女だが普通の女の子。
今日の結果を踏まえ、今後は制限を考えるべきかも知れない。
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