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来日-04 [シトワイヤン-22]

キャッシーは市民祭期間の中頃に来日した。
来日中は智里が主に案内。
智里にとって、市の仕事から離れ気分転換になってくれたら良いと思うが、相手は大富豪の孫、彼女達の関係は良く分からない。
キャッシーの宿泊は舞姫の館、万里の別荘として建て始めたものだ。
この建物は少し変わった建てられ方をしている。
まず完成したのは現在三階に位置する万里の部屋、バス、トイレ付で家電など最新設備の整ったユニット、完成以来万里は実家と使い分けている。
この部屋が二階になったのは、清香村の集会所的建物が完成してから。
その上に乗せられた形だ。
三階まで上げられたのは、今の二階部分、ゲストルームユニットを組み込んでから。
この建設作業は村民の有志が趣味として行っている。
テーマは文字通り成長する家。
成長するだけでなく外観も変化している。
外観のメインテーマは聖なる村の守り人の棲家。
何とか神聖な雰囲気を醸し出そうと工夫。
村人から大きな改装の提案があると万里が検討、了承すれば、彼女のいない間に工事というサイクルを何度も繰り返して来た。
冬場は雪が屋根に積もらない様、急角度の部材が取り付けられ、真夏の今は沢から引いた水が屋根を冷やしている。
万里の別荘がこうなったのは、万里が住める環境をいち早く用意したいという村人の思いから。
集会所を併設したのは、万里が自分だけの家というのでは気が引けるだろうということと、ある程度大きな家にしたかったからだ。
家を増築したり外観を変えるのは、趣味としてならとても楽しいことだそうで多くの村人が関わっているという。
今日はキャッシー達が市内を案内されている間、歓迎会の準備に愛華と清香と。
ただ、ついて来たものの私は邪魔になりそうで、それを察知した万里が相手をしてくれている。

「万里ちゃん、館の住み心地はどう?」
「快適ですよ。」
「話は清香から聞いていたけど、不思議な感じだね。」
「はい、外観とパブリックスペースはアニメ作品を参考にしているだけあります。
でも、不思議さを一番感じているのは多分私です。
大きめの改装の時は事前に知らせて下さるのですが、小さな改修がしょっちゅう有りまして、帰宅する度にどこかが変わっているのですよ。」
「まだ成長するのかな?」
「今も成長しています、隣に地下室を作っていまして、食料の備蓄やお酒などの保管用です。
上手く出来たら防音完備のスタジオを、やはり地下に作る話も、ゲストルームの需要が多いので二階を広げる案も出ています。」
「この館はどこまで大きくするとか有るの?」
「敷地にはかなりの余裕が有るそうで、ガウディのサグラダ・ファミリアを目標に、という冗談を真面目な顔して話す人がいるのですよ。」
「はは、壮大だね。」
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