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万里-02 [シトワイヤン-19]

「実は、鹿丘小学校の本を出そうと考えていてね。
それで、万里ちゃんが報告の形でウエブサイトに上げてる文とかを引用させて貰えないかと思ってさ。
三、四人のチームで完成させるつもりだけど、良かったら、その一人になってくれたら嬉しいのだけど。」
「報告をまとめるだけでも有る程度の量になりますね、複数の人の視点でまとめて行くのは悪くないと思います、それでしたら協力させて下さい、私達の思いを伝えたいです。」
「有難う、それとね、鈴木万里を掘り下げてみたいの。」
「私をですか?」
「小学六年生の女の子が、大人達からそっと拝まれる存在になるまでをね。
今まで万里ちゃんの映像を見た人の中には、なんの台本もなく万里ちゃんが自分の言葉で話しているところでも、しっかりした台本が有って演技してるだけだと思ってる人が少なくないのよ。」
「実際に会ったことがないとそういう感覚かも知れませんが、それで構わないと思います。
でも、そんなにも拝まれていませんよ。」
「遠くからそっとなのよ、見かけた時は極力お話を伺う様にして来たのだけど、皆さん、万里ちゃんが嫌がるだろうから、バレないようにって。
何時も子ども達を見守ってくれて有難う御座います。
苗川を明るく照らして下さって有難う御座います。
その笑顔で私達をお守り下さい、なんてことを考えながら拝んでいらっしゃるそうよ。」
「う~ん、お守りくださいと言われても…、ただの小学生だからな。」
「ふふ、ただの小学生で無いことは、自分でも気付いているのでしょ?」
「まあ、大人にも遠慮なく自分の考えをぶつけるし、小学校のリーダーでは有るけど。」
「智里ちゃんから聞いた話も面白くてね、天から舞い降りた舞姫にもなったことだし、そっと拝まれる少女、鈴木万里、なんてタイトル、どう?」
「え~、本にするおつもりですか?」
「私達としては、天から舞い降りた舞姫が如何に素敵な女の子か多くの人に知って頂きたいのよ。」
「本が売れなかったとしても責任は取れませんよ。」
「大丈夫、ちょっと宣伝するだけでね、市民政党若葉を通して私達には注目が集まってるでしょ。
私達が今まで出してきた本も、しっかり印刷会社や製本会社を潤して来たのよ。」
「私の本も経済活動に役立つのですか?」
「ええ、万里ちゃんが舞う姿や、Citoyenの子ども服に身を包んで微笑む写真も入れるから、思わず買ってしまう人が続出するだけの物に仕上げますからね。」
「そういうことならお断り出来ませんね、利益の使い道は聞いていますので、本間さんも喜んで下さりそうです。」
「ええ、もうお話しして有るわよ、それで一度ご両親のお話を伺いたいのだけど。」
「ふふ、愛華さんと会えるのなら父は大喜びですよ、土曜日なら大丈夫だと思います。」
「それなら…。」
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