SSブログ

夏休み-02 [シトワイヤン-18]

万里ちゃんは大人達と暫く話した後、僕らの所に来てくれました。

「初めましての人達、鈴木万里です、よろしくね。
ねえ、正一は、新しい仲間と仲良くなれそう?」
「うん、ノープロブレムだよ。」
「真一から聞いてくれたかな、もう引っ越しを済ませてる人もいるから、山や川で安全に遊ぶ為のルールを伝えて行く話。」
「聞いてるけど、僕はこの六人に伝えれば良いのかな?」
「そうね、大人達にも動いて貰ってる最中だから変わるかもしれないけど、お願い出来る?」
「もちろんさ、安全は何よりも優先、真一くんから何時も言われてるからね。」
「じゃあ任せたわ。
あっ、もうこんな時間か、私も水鉄砲で正一を撃ちまくりたかったな。」
「はは、和馬さんが暇そうにしてるから、早く行ってあげた方が良いんじゃないの。」
「うん、約束の時間だから、そろそろ行くね、みんな、まったね~。」

「武田くん、私ね、テレビに出てるアイドルと会ったこと有るのだけどさ。」
「へ~、そういうのが都会暮らしのメリットなのかな。」
「それがね、全然普通のお姉さん達で、従妹の女子大生の方が綺麗で歌が上手だったりするのよ。」
「そうなんだ、あんまし興味ないから分からないけど。」
「だから、苗川のアイドルなんて地下アイドルみたいな人かと思って失礼なことを言ってたかもなんだけどさ、ねえ、いるだけでオーラ出しまくりの、あの美少女は本当に人間なの?」
「多分ね、僕らにとっては小さい頃から面倒見て貰ってる、最高に優しいお姉さんなんだ。」
「何かお願いされてたけど、あの人にお願いされたら絶対断れないわね。」
「はは、断りたくなる様なお願いは絶対されないし、むしろお願いされるのは認めて貰ってる証拠で嬉しいんだよ。」
「そうなんだ。」
「それでね、みんなに聞いて欲しいのだけど、夏休み中の空いてる日に苗川を案内させて欲しいけど、どうかな。」
「それは嬉しいかも、早く慣れたいからね。」
「環境が変わって慣れていないということで事故に遭って欲しくないんだよ。
川遊びには川遊びのルールが有るし、クワガタ捕ろうと森に入る時もね。
都会の子に話すのは変かも知れないけど、交通事故にも遭って欲しくないし。」
「工事中が多いものね。」
「うん、古い町は道が狭いのに通り抜ける車が多かった、苗川大改造で道を広げ町を作り直している最中なんだ。」
「凄い事なのでしょ、道を広げるのは、そこに住んでいた人に引っ越して貰って、道路の面積が増えるという事は住める場所が凄く減ることだって聞いたわよ。」
「だから普通は反対する人が多くても不思議じゃないんだって、でも苗川はね。」
「うん、反対する人が少なくて効率良く工事が進んでいるのでしょ、町が姿を変えて行くのは楽しみだから工事は仕方ないのよね。」
「でね、工事の人達と情報共有をしてるんだ。」
「情報共有?」
「元は工事を見学したい人向けの情報で、建設機械の紹介だけでなく見学するなら見易くて安全な場所と時間、車両の出入りが多くて出来れば近付いて欲しくない場所とか時間を教えて貰っているのだけどね。
僕らは学校が始まればあまり関係ないのだけど、知って行動していれば危なくないし、作業効率にも影響するそうなんだよ。
ダンプカーが無駄に歩行者を待つ時間を減らすだけで、燃料の節約になるし空気を汚さずに済むんだ。」
「綺麗な空気を汚したくないということなのね。」
「うん、道路が新しくなってる所では、信号待ちの時間を減らす実験にも取り組んでるよ。」
「知ってるわ、国道は制限速度を守っていると信号待ちの回数が減るのでしょ、お父さんは信号待ちゼロを目指して運転してるって話してた、そうそう、家の近くにラウンドアバウトの交差点が出来てて新鮮だったわ。」
「僕も気に入ってる、お洒落だよね。
あっ、僕らの番だ、後の話は終わってからするよ。」

それから水鉄砲を使ったゲームを中心に色々とみんなで遊び、今日初めて会った子達とも楽しめました。
特に、積極的に話してくれた清水さんは、鹿丘小の五年生にはいなかったタイプの子ですが仲間として早く打ち解けてくれそうです。
nice!(13)  コメント(0) 

nice! 13

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。