SSブログ

お祭り-08 [シトワイヤン-17]

神社へは浴衣を着て出かけた。
もちろん、お目当ては屋台。
食べ物すべてを姉妹で分け合うのは、量より種類を楽しみたいから。
万里が口を付けた残りを私が受け取るが、念の為、私も残り全部を食べず、近くで飢えた顔をしてる連中の餌に、市民祭の期間中は特に美味しい物を頂く機会が多いので注意が必要なのだ。
万里目当ての人垣が出来ているが、皆さんマナーを守って下さるので普通に楽しめている。

「高橋さん、たこ焼きの売れ行きは如何です?」
「おう、万里ちゃん上々だよ、どう、一つ味見する?」
「そうね、一つ下さい。」
「智里ちゃんの分と二つ、俺の奢りで良いよ。」
「いえ、二人で分けるから一つ、ね、この浴衣どうです?」
「似合ってるが…、なんか同じのを良く見てる気がする…。」
「Citoyenのなの、私がモデルでね。」
「なるほど。」
「ちゃんとモデル料を頂いてるのよ、だから利益が社会福祉に使われる高橋さんの売り上げに貢献させてね。」
「分かったよ、はい、どうぞ。」
「有難う。」
「万里、たこ焼きは私が先よ。」
「うん。」
「熱いからね、ちょっと待ってって…、ふ~ふ~、もぐもぐ、うん大丈夫ね、はい、あ~ん。」
「うん、美味しい、高橋さんの修業の成果が出てるのね。」
「はは、同級生の店を随分手伝ったからな。」
「なっかむっらさ~ん、たこ焼きを食べる姉妹と題して写真、お願い出来ませんか。」
「おう、任せな、俺のカメラでも撮って良いかな?」
「構いませんよ。」
「私も写して良いですか?」
「そうですね、万里を撮影したら下がって下さいね。」
「はい。」

暫く撮影会、その後、移動。

「お姉ちゃん、大人に注意されてるあの子たちさ、危ないと言えば危ないのだけど男の子にとっては普通の遊びでしょ。」
「あれぐらいは、私もやってたわ、万里はしないの?」
「しないわよ、どうしてみんなは高い所が好きなのかしら。」
「そりゃあ、見下ろす感覚、そこから勢いよくすべる爽快感。」
「ふ~ん、でも微妙なのよね『危ないからしちゃいけません』なのか『少しぐらいの怪我は経験の内』なのか。」
「簡単に怪我をする様な、どんくさい奴、鹿丘小にはいないでしょ。」
「でもさ、これから転校生が増えるでしょ、今でも真一は、自分達が当たり前の様に教えられて来たことを知らない転校生が、事故に遭わない様にって随分気を遣っていてね。」
「そっか、真一は本当に格好良い、絵里がいなかったら私の彼氏にしたいぐらいだわ。」
「絵里が傷つきそうな事は冗談でもしちゃだめよ。」
「分かってるわよ、でも夏休み明けにまた転校生を迎えるのだから、フォローを考えないと行けないかもね。」
「ねえ、大人だって移住して来て山や川のルールを知らない人がいると思わない?」
「うん、大人だから大丈夫って先入観は禁物よね、万里、ちょっと電話して良い?」
「良いわよ、あそこの射的で熱くなってる人を見てるから。」

安全は最優先課題、関係しそうな人達と話してみたら、思っていた以上に見落とされていた感を受けたので、本間市長にメールを送る。
直ぐに来た返信は…。
『油断大敵、直ぐに指示を出す、何て書いてる私はアツアツのたこ焼きで舌が火傷気味なのだがね。』
そうそう危険はどこにでも有るのです。
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 11

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。