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お祭り-07 [シトワイヤン-17]

オープニングイベントは市民祭期間中の各イベントを紹介することが目的でも有り、各出演者の持ち時間は短い。
その為舞台裏は大変で、終盤、舞台セットの入れ替えに思わぬトラブルが発生、私達の出番となる。
プログラムには無いトークタイムだ。

「ねえ、苗川は、これから神社のお祭りに市民祭なんだけど、万里はお祭りについて考えたこと有る?」
「そうね、お祭りと言っても色々なのよね、神社の祭礼は宗教的な意味合いが有るけど、市民祭は皆で楽しんだり、真面目なイベントも。」
「何も考えずにたこ焼き食べてる子がいそうだけど。」
「ふふ、それも大切だと思うな、お祭りでたこ焼き食べたというのが苗川の想い出になるかも知れないでしょ。
ちっちゃい頃のお祭りでさ、お姉ちゃんにおんぶして貰ってほっこりしてたら、お姉ちゃん、何かの順番がどうとかで男の子と喧嘩を始めたことがあったよね。」
「はは、私は負ける気しなかった、でも、あの連中は万里の安全を考えてくれて、それで直ぐに収まったのだけど、あの時、万里は何考えてたの?」
「お姉ちゃん、頑張れ~って。
でね、こんな話をお婆さんになった私達はお茶を頂きながら想い出話として語り合うのよ。
そんな事が、お祭りの大切な目的なんだと思うわ。」
「お祭りの委員を歴任してきた私としては、もう少し深い意味とか…。」
「はいはい、お姉ちゃんの話は後で聞いてあげるからね。
会場の皆さんにお願いします、市民祭の期間中、子ども達が危ない思いをせずに楽しい想い出を作れる様に、もちろん大きくなった子ども達も楽しんで下さいね。」
『は~い!』
「万里ったら、大きい子ども達まで手懐けて…。」
「お祭りはね、地域のみんなが年齢に関係なく一緒に準備し、一緒に楽しむ事が大切なのよ。」
「そうね、そこがお祭りの大切なところでしょ、普段の生活では接することのない人とも触れあってさ。」
「うん、お菓子を頂いたりね。」
「万里は花より団子か、でもそれだけなの?」
「学校生活だけでは経験出来ない様々なことを教えて頂いてます。」
「万里は私が小学生だった時とは違うのよね。」
「ふふ、お姉ちゃんは納得のいかない事に対して、すぐ喧嘩腰だったのでしょ、私には真似出来ないわ。」
「はは、中学生の頃はそうだったかしら…。」
「でも、お姉ちゃんみたいな人がいて、組織がまとまって行くのよ。」
「もう、ナマ言って。」
「皆さん、こんな姉ですが、今回の市民祭に合わせて動き始めた苗川高校生部会でも活躍して…、ねえ、お姉ちゃん、苗川高校生部会は今日のイベントで表に出てないから、ここで紹介させて頂いたらどう?」
「そうね…。」

思っていたより、準備に手間取ったお蔭で色々な話をさせて頂けた。
舞台上での万里とのトークは途中から万里のペース、その辺りから会場が盛り上がったと思う。
何を話せば良いのか私以上に分かっている、そんな妹なのだ。
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