SSブログ

或る日の-06 [シトワイヤン-15]

「人材の育成か…。」
「苗川は店員たちの質が向上している以前に、市民たちの高い人間性を指摘する声も上がっています。」
「ああ、本間市長は市民の意識が高いと良く話される。
苗川と同じことを他の地方都市で取り組もうとしても簡単ではない、実際、思い切った改革には反対する人が少なからずいると聞くね。」
「居酒屋で、未来の苗川を優しい気持ちで考えてると耳にしたわ、自身の欲得ではなく社会的な視点ということみたいに。」
「そういう人はどこにだっていらっしゃいます、ただ、その様な方々が本間さんの助言の下、市民政党若葉の党員としてまとまり、そうですね、高いプライドを持って彼の地を作り替えようと、学生からの報告ではそんな魅力的な人達の下に集まった人達が、影響され社会性や人間性が向上していると、明らかにプラスの人間関係が形成され好循環が実現していると結論付けています。」
「大物にはなれなくても嫌な大人にはなりたくないとか、本間さんが広げたっぽい標語みたいなのを良く耳にするものね。
党のシステムでも市民の意識改革として、市長になられる随分前から主張して見えたわ。」
「俺は知らず知らず、そんな人達が暮らす苗川に魅力を感じていたのかも知れないな、雄大な自然と素敵な住人。」
「都会で足の引っ張り合いをしてる様な人を見かけると嫌になる。
幾ら行政が頑張ったところで、その集団を構成している市民が我欲に走る人ばかりでは優しい町にはならないのよね。」
「本間市長は俺達の功績を強調されるが、彼自身が成し遂げられた、目に見えない、あえて言うなら民度の高い人を中心とした町作りこそが、広げて行くべき事なのかも知れない。
苗川の再開発は工事の規模で目立っているが、俺達が本当に伝えて行くべきなのは意識の高い市民の存在だな。」
「本にまとめる?」
「ああ、元々地元を愛する心が有った人達、そこに市民政党の理念が溶け込んだ、宗教とは違う形で進めたのは本間市長、その結果、といった所か、他は蓄えが有るのだろ。」
「ええ、来週ぐらいには原稿を書き上げるわ、苗川ネタの在庫は多いのよ。」
「意識改革の重要性が伝われば党の活性化にも繋がる、英語版も出そう、印税の一部は苗川に還元するか?」
「この前、社会的弱者を受け入れる話が出てたでしょ、そこの応援をしたいわ。」
「優しい人の話を本にして人に優しい活動に役立てるのですね、乾社長は障害者雇用を進める様に指示を出しています、党支部とも連絡を取り合っていますので…、ふふ、まずは本が売れてからですね。」
「苗川の秘密を知りたい人は多いし、愛華の文は分かり易い、今まで出した本は地球市民党の広がりも有って継続的に売れてる、印税で社会的弱者を何人か養って行く事も考えていくか?」
「そうね、その気になればネタはまだまだ有る、英語版は地球市民党がらみで勝手に宣伝してくれるし、印税の扱いは康太とも相談しておくわね。
あっ、清香は銀行からの借り入れ、返済は良いの?」
「大した額では有りませんし、銀行との関係を良好にしておくための借り入れですので問題有りません。」
「和馬のログハウス関連の会社は?」
「問題ないよ、利益は別の過疎地にログハウス村を建設する計画に当てられる、まあお金に困ってない人が趣味で集まってる集団、その管理会社だからね。
集まった社員達も自然が好きな人達で、清香のところの社員達とも仲良くやってるよ。」
「愛華、結婚祝いや出産祝いが続いているのですよ。」
「結婚する人達は目指せ大家族なのだが、みんなでそれを支えようとしている、新しい村が共同体として機能し始めているんだ。
俺もメールのやり取りぐらいだから…、愛華、次に苗川へ行く時はその辺りを見て来るか?」
「そうね、目指せ大家族は和馬も意識しているのでしょ?」
「ま、まあな…。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。