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或る日の-01 [シトワイヤン-15]

或る日のドライブ中、渋滞に引っ掛かったことを切っ掛けに、大都市の過密が話題になった。

「鷹上総理達も人口バランスの悪さを解消したいと考えてはいるのだけど、決定的な案が出て来ないのよね。」
「思い切って都市部だけで増税、固定資産税に地方再生の為の税を加え、そこで得られた資金は地方の再開発に充てるとか如何です?」
「う~ん、都会暮らしのメリットを吹き飛ばすぐらいの増税でないと効果がない気がするが、それぐらいの事をしないとだめかもな。」
「政府としては東京のスリム化を進めているのよね。」
「国家公務員の組織改革には一早く取り組んでいるからな、東京で仕事をしている人を地方へ分散するそうだよ、地方で出来る事は地方でする。
事務の効率が落ちると反対する声が上がったそうだが、今時どんな事務作業をしてるのかと見直しの対象になり担当者の無能ぶりが浮き彫りになったとか。」
「地方へ分散って、簡単なことなの?」
「東京の机で行っていた作業を地方の机に移すだけのことさ。
北海道関連の事務作業を九州で進めるのに問題はないんだ。
逆に、現場を知らない人が東京で判断、というパターンは無くして行きたいと聞いたよ。」
「大きく省庁を移転させるのではなく、その機能を地方に分散させるのですね。」
「転勤したくない人からの反発はないのかしら。」
「国家公務員なら転勤は前提じゃないのかな、転勤先はほとんどが県庁所在地だろうから、すごく不便でもないだろう。」
「メリットは、ささやかながら東京の昼間人口を減らせることと家賃面ぐらいでしょうか。」
「比較的学力レベルの高い子弟が全国へ分散する可能性はどうかな?」
「結局進学で東京じゃないの?」
「大学も学部単位で地方へ分散すれば、広いキャンパスを確保出来るだろうな、学生の人気は下がるかもだけど。
大地震や富士山の噴火とかで、東京の機能が著しく低下したら日本全体に大きな影響が出る。
だから元々分散すべきだったんだよな。」
「苗川に本社機能の一部を移転した企業の方もそう話していたわね。
清香の所は東京からどれぐらいの人数を苗川に?」
「東京からは全体で三百名ぐらいでしょうか、夜のお店で三か月契約の人がそのまま居ついたり、客の建設関係と結婚を前提にというパターンも有るそうです。」
「苗川に関しては『脱東京』の受け入れ、順調だよな。」
「でもアンバランス状態は解消されそうにないのよね、やはり、江戸所払いとか、島流し、過疎地での強制労働なんて刑罰が必要なんじゃない?」
「罰としてではなく、沢山稼いだ人が自分へのご褒美として自然環境を選んでくれたらと思うけど。」
「それでは、田舎がお年寄りばかりになってしまわないでしょうか。」
「それはそれで問題か…。」
「取り敢えず、私達は『脱東京』キャンペーンを頑張るしかないのね。」
「ああ、それでだな…。」
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