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政権-03 [シトワイヤン-14]

慌ただしい準備期間を経て衆参同日選挙の選挙戦が始まった。
その三日目の夜、俺達三人は各自ノートパソコンを見ながら。

「和馬、苗川の人達は選挙運動の意味がなくて盛り上がりに欠けてるみたいね。」
「まあそうだろうな、周辺の自治体でも市民政党の支持者が増えてる、あのエリアは熱心な党員がすでに党の支持層を拡大済、他党の支持者は隠れキリシタン状態になっていても不思議ではないだろう。」
「あの選挙区は一早く当確でしょう、問題は現職候補が強いところです。」
「大臣経験者だろ、うちの候補者達は現政権を大きく非難することなく、違いをアピールする方向だがどうだろうな。」
「例え勝てなくても圧勝だけはさせない、というのが目標です。」
「総理の対立候補が勝ったら面白いのにね。」
「そこまでは甘くない、彼女自身次回への布石と考え、市民政党の宣伝を第一に考えているそうだよ。」
「あっ、政党支持率のデータが入りました。」
「新聞社の?」
「はい、どういう調査なのか分かりませんが、市民政党の支持率が六十三%となっています。」
「国民の皆さんに政権交代に対する期待感が高まっているのかな。」
「そうね、その数字に対する反応も早いわ、解散は総理の判断ミスとの声が一気に、まあ、そうなんだけど。」
「大臣経験者からも…、これはコメントを求めた記者の誘導としても、完全に失言です。
この数字を見て、何とか挽回することを考えるべき人が…、自分達の総裁を批判して…、それがマイナスにしかならないと気付けないのでは…、総理も大変だったでしょう。」
「問題はその支持率が信頼出来る数字かどうか、それを見て有権者がどう動くかだね。」
「勢い良く圧勝して政権交代となれば面白いのだけど、準備は出来てるし。」
「支持率を受けて私設応援団の方々も盛り上がっています。
この数字に気を緩めず、更なる支持率アップ、選挙での圧勝を目指しましょう。
連呼しない運動スタイルを貫いて、騒音を発生させずに勝ちましょう。
市民の手によるガラス張りの政党による政治を実現させよう。
など、一人一人のフォロワー数を考えたら、影響力は大きいですね。」
「アンチは?」
「経験の少なさを指摘していますが、お年寄り議員の弊害を指摘されて沈黙。
ネット上のアンチが少ない事を考えると、支持率六十三%は間違っていないのかも知れません。」
「あっ、弱小野党、いよいよ消滅か、だって。」
「確かに野党の中には支持率ゼロ%となってる党が有ります。」
「僅かな支持者が市民政党に動いたのだろうが、調査の回答者が千人ぐらいなら、その中にその党を支持する人が一人もいなかったとしてもおかしくないな。
逆に、市民政党支持を意思表示したい人は積極的に回答するだろうから、高めになるかも知れない。」
「統計の仕組みを党員に示して、油断しないように、お願いするべきじゃないかしら、党本部にメールを送りましょうか?」
「そうだな、もう動いているかも知れないが念のために。」
「目標、支持率百%、目指せ一党独裁なんてコメントに、肯定的な意見が多いわ、支持率百%は無理だとしても、市民政党のシステムを新総理大臣が軽視しない限り、きめ細かな法整備を短期間で実現出来るとか。」
「実質的な国会を党システムが担うと、国会議員の役割も変わって行くだろうね、当分の間は参議院で過半数を取れないが、そこで野党がどう動くか楽しみだ…、何てことを考えるのは早過ぎるかな。」
「投票結果が出ないとね。」

今は期待と不安が入り混じっている、それなりの議席は確保出来ると確信しているが、党としては衆議院での過半数、圧勝を目指していて、政権を取れなかったら敗北だと考えてる人も少なくない。
投票結果が出るまで落ち着かない日々が続きそうだ。
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