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政権-01 [シトワイヤン-14]

衆議院解散を受けての、市民政党若葉党首、鷹上新之助の記者会見には多くの記者が詰めかけた。
国会ではまだ小さな存在に過ぎない政党だが、統一地方選挙の圧勝で無視出来ない存在となりつつ有る。
定刻通りに始まった会見、党首の両脇には愛華と清香が武道の道着をモチーフにしたオリジナルの衣装で花を添える。
党首の話に合わせて表情を変えてるからか、カメラマンの意識は党首より二人の美女に行きがちになっている様だ。
質疑を終え最後はフォトセッションで締めくくられたので自分の勘違いでは無かったと思う。
その後は党関係者として自分も記者に囲まれコメントを求められた。
会場が落ち着いて。

「愛華、記者会見の最後がフォトセッションとは思ってもいなかったよ。」
「会見中は私達離れて座ってたでしょ、それでカメラマンから強い要望が有ったの、政策面での争点が少ない選挙だから、こちらとしてもイメージが大切なのは分かっている、ということで急遽ね、見ててどうだった?」
「決意、決断がキーワードになるのかな、二人とも恰好良くてとても素敵だった、鷹上党首だけだったら新聞の取り上げ方が小さくなりかねない所に、良いインパクトを与えられたと思うよ、しかも只の飾り物でなく、党の発起人でも有る訳だからな。」
「一応、鷹上党首に向けられた質問は自分でも応じられるか考えていたのよ。」
「市民政党の強みは、そんな人がやたら多いということだよな、俺は面倒になったら党のサイトを見て下さい、で済ますけど。」
「ふふ、手抜きはイメージを悪くするわよ。
ねえ、鷹上党首に呼ばれているのでしょ、そろそろ行っても良いんじゃない?」
「ああ。」

鷹上党首達は記者会見の反応を確認している所だった。
「おお、和馬くんお疲れ様、しつこい記者はいなかったかね?」
「残念ながら。
記者を洗脳して党の言いなりにしようというミッションを考えていたのですが、近づいて来るのが党のファンばかりで達成出来ませんでした。
皆さんの興味は、市民政党若葉私設応援団や『瀬田和馬が十万円で購入した土地』の現状とかなのですよ。
世紀の政権交代を楽しみにしていると話して下さる方もいましたが。」
「SNSの反響は、清香くんと愛華くんがカッコ良すぎる、とのコメントに負け気味だが、党を支持する声は多い、私設応援団の面々はブログで熱く語ってくれてるよ。」
「それらがすべて票に結び付けば良いのですが。」
「ああ、浮かれ気味なのは有権者の一部に過ぎない、和馬くんも頼むよ。」
「勿論ですが、テレビ番組では公平性の観点から、選挙終了まで選挙関係の発言は控え目になります。
まあ、自分達から市民政党を連想して下さる方は多そうですので、発言に気を付けながら目立つ様にはして行きますが。」
「そうだったな、私設応援団へは協力への感謝と共に公職選挙法関係での注意事項を伝えさせて貰ってるよ。
心強いのは、応援団の皆さんが雰囲気に流されてる人では無く、党員として学習した上での応援ということ、だから尚更、選挙違反はゼロにしたいんだ。」
「ですね、自分達のチャンネルからも発信して行きます。」

それから暫く選挙戦の話をした。
我々にとって大きな国政選挙は初めてのことだ。
数千票の得票で当選する地方選挙とは選挙運動も大きく違って来る。
その辺りの作戦を確認したのだが、それで充分なのかどうかは分からない。
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