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拡大-03 [シトワイヤン-13]

店は駅前の空き店舗を利用して、ビルが取り壊されるまでの期間限定でオープン、その後、新たな造成地に建てられる店舗へ移動という計画、乾社長が店舗展開に強気なのは現時点でも飲食店が不足気味だからだ。

「清香さんのお蔭で空き店舗が減って嬉しいよ。」
「これから人が増えますので、普通の食事を提供できれば赤字にはならないというのが乾社長の思惑です。」
「本間さん、苗川大改造に着手していなかったら、店を出しても客は来ないでしょうね。」
「多分な、駅の利用者は減り、寂れた駅前、住民が、何もない田舎の町だから、と動かなかった結果のままさ。
魅力的な古い町並みでもないのに新陳代謝をさせられなかったら衰退しかないね。」
「町の新陳代謝が上手く行けば苗川の様な大改造の必要はないのでしょうか?」
「田舎では町の新陳代謝そのものが難しいだろ、大都市圏なら老朽化した建物は倒され新たな建物が建てられるが、新たな建物の需要を生み出せないのが多くの地方都市なのさ、過疎地に至っては言わずもがなだな。」
「本間さん、苗川レベルの大改造はなかなか難しいと思うのです、他の自治体でも出来そうなことは有りませんか。」
「清香さんの気持ちは分かるが人間は欲の塊だからね、住みたくなる街づくりを目指す人が現れても、目先の利益に囚われる人が足を引っ張るんだよ。
苗川は奇跡的にそういう人が少なかったから一歩踏み出せたんだ。」
「住人は変えたいと思っていても動けない、そこに外からの指導者が現れて、規模の大きな提案、それに反論出来るだけの人がいなくて大きく動いた、という感じでしょうか。
旧態依然の市町村では、苗川の様に外からの指導者を受け入れることすら考えられないかも知れませんが。」
「和馬、排他性は自己防衛本能に由来するところも有るから仕方ないかもよ。」
「幾つかの市で、苗川の取り組みを検証し自分達の町でも可能か検討を始めていますが、やはり一番の問題は初期投資、行政の思惑で市民を動かすことは難しそうです。
本間さんは、市長になられる前に、苗川市民と都市計画を話し合われていたことが良かったと思いませんか?」
「ああ、清香さんの言う通りだ、同じ市民という立場で語り合えていたからね、市長になってから提案してたら全然進まなかったかも知れない。」
「私利私欲が優先、政治の世界はどこも旧態依然のままだと感じています。」
「だよな、国会でも旧態依然のやり取りを見せられ続けて、でも、そこに我々の付け入る隙が有るのですよね、本間さん。」
「ああ、他の政党に対して残念な気持ちが高まっている今は、新しい形の政党ということで多少の違和感を持たれている、市民政党若葉にとってはチャンスだな、一気に政権を取りたいね。」
「次の衆議院選挙が何時になるか分かりませんが、少し気が早くないでしょうか?」
「いやいや、目標は高く掲げて、統一地方選挙の結果に青ざめている与党に対して、参議院選挙でもう一撃食らわせられたら、可能性は高まるよ。」
「勢いだけはどの党より有りますものね、清香、私達も後押ししましょうよ。」
「勿論、お手伝いさせて頂きます、でも…、政権を取るなんておとぎ話みたいで、実感が湧きません。」
「そうだな、国民に夢を見させる市民政党若葉にしようよ。」
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