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地方支部-07 [シトワイヤン-10]

本間さんは社長として色々考えておられる。
だが、そのまま市長となると難しい問題が出て来そうな気がして。

「本間さんは市長と社長を兼任されるのですか?」
「いや、会社の方は筆頭株主として影響力を残しながら社長から退く、だが後任者も地方都市に住む事を考えている市民政党若葉の党員だからね。」
「やはり本間さんの影響で?」
「どうかな、それなりの規模になった企業のトップは社会に対して責任が有ると考える女性だよ。
まあ、私がどうやって紙屑同然だった株の価値を高めて来たのか知ってる人だから任せられるのだがね。」
「それも興味深いです…。」

本間さんからは色々なことを学ばせて頂いた、企業の業績回復に成功したのは偶然ではない、という言葉が印象的。
翌日は市内のあちこちを回り、市の実情に触れてから帰途につく。
本間さんが再生を考えている町、苗川市がどう変わって行くのか楽しみだ。

苗川市から市長辞任表明のニュースが入ったのは、それから間もなくの事。
市長リコールの住民投票が無くなり、市長選の告示となったが、本間さん以外に立候補者は無く無投票当選。

「無投票当選って、盛り上がりに欠けるわね。」
「愛華、無駄な選挙費用を使うよりは良いと思います、四月には市議会議員選挙が有りますし。」
「統一地方選挙だよな、市民政党としてどれだけ所属議員を増やせるのだろう。」
「苗川市では十七議席中最低十三議席は確保したいと目論んでいるようです。」
「苗川の党員は熱いからな、市長選が無投票になったパワーを市議会選へという事だろうな。」
「それで、議員定数の削減と議員報酬の見直しを進めるそうです。」
「そうなんだ、議員定数は意識していなかったな。」
「調べてみたのですが議員定数は人口比ということではなく、それぞれの市町村で定められていて、人口の割に議員定数が多い議会も普通に有ります。
それぞれ諸事情が有るのでしょうが、苗川の党員達は十三人で良いとの結論に達したみたいです。」
「根拠は有るの?」
「一応十三の地区を意識したのと、議員の仕事をシミュレートした結果だそうですが、実際に市民政党所属の議員が誕生し活動して行く中で見直して行くと。」
「議員活動が選挙対策ばかりの議員もいそうだが、苗川なら選挙対策に多くの時間を取る必要はないだろう、その分、議案に時間を掛けることが出来るのかな。」
「でも、議員定数は十人でも二十人でも議会を通りさえすれば良いのよね、国会だって今の定数が正解なのかどうかは分からないわ、国会議員一人当たりの経費は大きいのに。」
「議員報酬自体が適正な額なのかどうかは明確には示しにくいです。」
「ああ、バランス感覚の有る人達でさえ悩みそうだよ、全国全ての議員報酬一覧を見たが、ばらつきが大きかった。
それぞれの事情が有るのだろうが、村議会議員の報酬が大卒初任給より安いのは、アルバイト程度の仕事しかしていません、ということなのかと思ったよ。」
「議員定数割れという話が有りましたが、まともな報酬にすれば、村会議員を目指す若者が登場するかも知れません、ただ、それに見合うだけの仕事が出来ないと…。」
「一度問題提起してみるかな。」
「はい、市町村支部が個別に検討している様ですが、党としての指針が有っても良いと思います。」
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