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挑戦-07 [シトワイヤン-07]

「清香さんは、この、おっさんのこと知ってた?」
「いえ、何をされてる方ですか?」
「ちょいちょい、それはないでしょ、これでも芸人の端くれですよ。」
「売れないね。」
「うっさいわ、どうせ多田先生の足元にも及びません~。」
「合田さんはどんな芸をなさるのです、先日、愛華たちと水族館で見たアシカの芸は楽しかったのですよ。」
「えっ。」
「そこで直ぐに返せないレベルなんだよな、アシカの芸にも及ばないね~。」
「ちょいちょいちょいちょい待って下さい多田先生、御嬢さん宜しいですか『おとこ合田、芸歴それなりブレイクなしの一発なし、それでも生きて行けるんや~!』って聞いた事有るでしょ?」
「和馬、こういうのをギャグというのでしょうか?」
「たぶんな、売れない芸人でも生活には困らないということなんだろう。」
「おいおい…。」
「では、そんな、おとこ合田に関して番組からのお知らせです。」
「な、何も聞いてない…。」
「合田のおっさんには、それなりの芸歴を活かし国会議員選挙に立候補して頂く事になりました。
その過程を番組で追いながら国会議員を考える企画です。」
「立候補なんて無茶でしょ、今時こんなドッキリ駄目ですよ。」
「でも、仕事欲しいでしょ。」
「そりゃあそうだけど…。」

「番組企画『おとこ合田、目指せ国会議員!』、さあ合田さん、国会議員当選に向けての意気込みをどうぞ。」
「はい、頑張って国会議員になり故郷に錦を飾ります、皆さん応援よろしくお願いします。」
「はい、良く出来ました、瀬田くん、これで良いのかな?」
「大丈夫だと思います。」
「何が大丈夫?」
「これから合田さんが国会議員を目指して頑張る姿の下には『公職選挙法に抵触しますので、合田さんが実際に立候補することは有りません』とテロップが流れます、合田さんは実質的に衆参両院議員の被選挙が無くなるのです。
一人だけ、先走って国会議員になりますとテレビで言いまくるのは反則なんです。」
「では、国会議員を目指す企画だけど、立候補はしないという事か。」
「ええ、それでも合田さんが立候補するのなら視聴者の方が一票入れたくなるぐらいには頑張って下さい、梅子姉さんも期待していますので。」
「仕事が増えても、家庭は大切にな。」
「はあ、よう分からんけど頑張ります。」
「『おとこ合田、目指せ国会議員!』は、合田のおっさんが国会議員を目指す姿を通して議員という存在を見直してみようという企画です。
公職選挙法を確認しながらになりますが、与野党議員の方にも協力して頂けたらと考えています。」

この企画の原型は、株式会社和馬から局への持ち込んだもの。
国会議員が普段何をしているのか、それを一人の議員に密着取材して番組にしたら、選挙の公平さを欠く事となる。
そこで、バーチャル議員候補を誕生させた訳だ。
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