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村長-05 [シトワイヤン-03]

当初の予測に反し、俺はあっけなく村長になった。
これは党員の作戦勝ちと言える。
いち早く立候補表明をすると共に、市民政党若葉構想を紹介し、村内の問題ではなくゲーム外でのバーチャル政党をアピールした結果、俺達への注目度が上がり対立候補が立ちにくい状況となった。
ゲームがスタートしてから間が無くて、俺達の様な十数名のグループが出来てなかったことにもよるだろう。

「村長就任おめでとう。」
「有難うなのか…、実感はないのだが。」
「まずは国名の制定ですね、和馬王国で如何です。」
「村だってば。」
「そうね、村なんて貧乏くさいし国を名乗ることに何の問題もないと思うわ。」
「悪政をすれば革命が起こる、国王は処刑され共和制へと移行なんてシナリオ、面白そうだな。」
「まずは、市民政党若葉に国の資金から私達が楽して暮らせるだけの資金をお願いね。」
「う~ん、村長権限か…、確かにやりたい放題やって反感を持たれることでゲームの活性化を図るというシナリオは有るが、暫くは悪政を敷かずに村の組織を構築して行くことを優先したいかな。」
「真面目な村長路線…、議会も作るの?」
「基本でしょ。」
「千人の国民に対して適切な議席数は幾つでしょう、その議席を市民政党若葉で独占出来たら、いよいよ絶対王政のスタートですね。」
「清香は絶対王政に拘るのだね。」
「絶対的な権力者が善政を行った場合、民主主義的価値観がどうなるのか見てみたいのです。」
「資本主義、社会主義、共産主義、自由主義、色々な価値観が有ったけど、結局は人間の欲望の下、理想の社会にはなっていないのが現実、和馬王国で試してみるのも有りなのかな。
王政の欠点は偉大なる王の子が、ろくでもない人物に成長して王位を継ぐ可能性かしら。」
「王様は世襲制というのが世界の常識というか人類の常識なのかな?」
「和馬王国で世襲を実現させるのは私が頑張ってもうんと先です、王の交代は世襲以外になりますが、王になる為の教育が必要なのでしょうか。」
「国のトップとして判断出来る人物の教育か…。
そう考えると、日本では総理大臣になるべく教育を受けてきた人が総理大臣になってるのかな?」
「それは日本だけの問題ではないです、自分ならば国家のトップに相応しいと頑張って来た人の内、何割の人が国民から好評価のまま身を引いているのでしょう。」
「歴代大統領が残念な末路という国も有るな。」
「それだけ国政は難しいということだろうね、外交問題なんて国同士の利害関係がぶつかり合って、領土問題なんて簡単に解決するとは思えないだろ。」
「私利私欲を優先して失脚という例も有ります。」
「なあ、もし選挙対策を考えなくて良かったら、長期的な視点でもっと大胆な政治が出来るのかな。
あまりにも平等を意志し過ぎてか、法律が複雑になってる、消費税関連なんて酷いものだろ。
有無を言わせず十%ならすっきりしないか、和馬が国王だったらどうする?」
「絶対王政的に抜本的税制改革を進めると税務署職員を減らせてしまう、税収と行政サービスのバランスが取れる様に指示を出さないと反発を招くだろうな。
ただ、例え消費税がシンプルに十%だとしても、充分な所得の有る人はすぐに慣れるだろうね、計算は楽になるし、問題は低所得者層の生活、増税分は貧困対策を中心に社会保障費に充てるのがベストなのかな。」
「日本の場合すごい金額の国家予算が組まれているのよね、その中で海外への支援、国内問題との関係を和馬はどう位置付けてるの?」
「日本は輸出で稼いでいるからね、それに見合う支援は必要だと思うし、それが次の輸出へも繋がるだろ、円借款もね…。」
「円借款って聞いたことが有るような。」
「途上国にお金を貸すのさ、例えばインフラ整備の費用としてね、そしてそのインフラ整備を日本企業が請け負う、勿論現地の人を雇うから現地の人にとっては、インフラ整備が進み雇用が確保されるのだが、勿論返済が前提、そして貸付た金は日本企業の懐に入るという構図。
無償援助も円借款も海外支援だが意味は全く違うのさ、俺も掘り下げて調べた訳じゃないから、どうとは言えるレベルじゃないけど。」

そう、俺達の学習が進んでいると言っても、まだまだ浅い。
それでも、国が行っている事に触れて行くことで、自分達の視野が少しずつ広がるのだと思いながら、俺達は学習やシミュレーションゲームに取り組んでいる。
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