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村長-01 [シトワイヤン-03]

俺が市民政党若葉初代代表(仮)と表明したのは大学が夏休みに入る頃、そして、そのタイミングで兄貴たちのゲームがスタートした。
これは正直嬉しかった、彼女達と共に過ごす口実が増えたからだ。
まあ、それ以前に愛華主導で夏のスケジュールが組まれ始めてはいたのだが。

この良く分からないゲーム、一人で参加していたら面白くなかったと思う、ゲーム的に面白い要素がまだ確立されていないからだ。
だが、俺達は各自のノートパソコンを持ち寄ってリアルに話をしながら進めている、その結果、自分達の設定を入力するだけで大いに盛り上がった。

「ゲーム内でも大学生にするの?」
「愛華は妖精とかが良いのか?」
「いいえ、そもそも妖精ってゲームの趣旨から外れるでしょ。」
「ルール上問題はないみたいです、康太は養豚場の豚とか如何です。」
「ひたすら餌を食べて太り、いずれ喰われる運命、悪くはないがゲームに参加している気分にはなれそうにないな。」
「そうね、私としてはリアルに近い形で進めたい、和馬、市民政党若葉の呼びかけをゲーム内でしても良いのよね?」
「ああ、それは確認した、バーチャル政党だから何の問題もないそうだ。」
「ゲーム内には他の政党も出来るのかな?」
「村議会の成立は想定しているそうだ、ただ、リアルの変な活動家が動き始めると、ゲームそのものが破綻する可能性が有るだろ、今は人数が少ないから問題ないけど将来的には大きな課題だとか。」
「ゲーム内で悪政が敷かれるのも面白いが、それで参加者が減ってしまってはな。」
「ねえ、清香の、冷徹な女子大生って設定、どうなの?」
「いいじゃん、愛華は天然系女子大生にでもしたら。」
「康太、愛華がそれをゲーム内で演じきるのは難しいと思う、あくまでも設定だから何でも良いのだけど。」
「和馬は普通の大学生って芸が無さすぎです、そもそもゲーム上で普通なんて面白く有りません。」
「清香みたく即座に冷徹なんて…、清香だったら俺の設定をどうする?」
「そうね、私の僕ってどうかしら?」
「僕か…、和馬なら、そういうのも有りだな。」
「ちょっと、そんなのだめよ、私が奴隷にしてあげるわ。」
「う~ん、バーチャルの世界でいきなり僕に奴隷では悲しすぎる。」
「良いじゃないか、そこから頑張って自分の地位を上げて行くという展開も有るのだろ。」
「まあ、その辺りは何とでもなりそうだが、愛華たちが、俺の事をそんな風に思ってたのに傷ついた。」
「私は、リアルとバーチャルで変えた方が面白いと思ったのです。」
「リアルでの願望ではなくて?」
「それは有りません、リアルに僕がいても面倒なだけです、バーチャルなら、何時も近くにいてくれる僕がいるのも…。」
「えっ…。」
「別に和馬だからってことじゃ有りませんよ。」

少し頬を赤らめつつも冷静さを装うが、清香は絶対に冷徹な女子大生なんかではない。
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