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黒猫組-06 [化け猫亭-20]

「しかし、過疎地の再開発は簡単ではない、化け猫組で取り組んでるニュータウンエリアは交通の便が酷く悪い訳でもなかったから、集中投資で一気に人口を増やせた、だが条件が悪いと集中投資もしにくいし中途半端な事では続かないだろう。」
「はい、それは理解していまして、自分達は少し違った取り組みを考えています。」
「ふむ。」
「まず空きが出始めた仮設住宅に、黒猫組関連企業から希望者を募って住んで貰います。
第一弾は先方の行政機関とも話が付きました。
過疎地体験になりますが期間は柔軟に対応します。」
「移住を視野に?」
「それは少し先にして、まずは多くの人に田舎暮らしを体験して貰います。
夏休みには子猫組の子達も送り込みたいですね。」
「目的は?」
「多くの人にとって、故郷の様に思える場所にしたいのです、帰省先を持たない人達、特に子ども達には田舎暮らしを体験させたいです。
正直言ってやってみないと分からない部分が多いのですが、過疎の町に人が増える…、勿論、派遣する人達には事前の研修を受けて貰いますので、そこから何か見えて来ないか期待はしています。」
「見えて来たら仮設では無く社員が住める住宅を整備して行く事になるのかな。」
「はい、用地は確保して有ります。」
「どれぐらいの人数?」
「第一陣は五十名程度になります、年齢関係なく独身者中心に男女半々程度でスタートします。」
「もしかして婚活も兼ねてるのか?」
「ええ、向こうで良い仕事を作り出し、過疎化少子化に対抗して行くのが理想ですね。」
「予算的には?」
「各社の研修費用と福利厚生という形でかなり賄えます、現地で人が五十人増えれば店の売り上げが増えますし、復興状況視察ツアー的な企画を発信して行けば、それなりに稼げると思っています。」
「うん…、それを、過疎と向き合う町の取り組み視察ツアーに繋げて行くのだね。」
「ですが、まだまだ企画が弱いですから、これからが勝負、それでも、テレビ局の取材が入りますのでスタッフは気合を入れていますよ。」
「黒猫組による被災地支援を売名行為だと批判する声に対して、加奈さまがはっきり売名行為ですと応えられたからな。」
「開き直らなくても困ってる人の為の活動、その一言がかえって国民の多くを味方につけ、黒猫組の活動に注目させた一面が有る、テレビ局としても無視出来ないだろうね。」
「局によって温度差は有りますが、取材依頼は増えています。」
「売名行為云々は自作自演ではなかったのか?」
「いえ、頼みもしないのに黒猫組を目立たせて下さる方々がいたのですよ。」
「目立つと隠してる部分がバレたり、下っ端組員の喧嘩とかも注目されてしまわないのか?」
「隠してはいますが犯罪を減らす事が目的ですし、黒猫組が犯罪を犯した人の社会復帰を手助けしていると正しく理解して頂けるきっかけになれば…、まあ頭の悪い連中は誤解すると思っていますが。」
「そうだな、誤解する様な一部の連中に気を使っていてはきりがない、いずれ黒猫組のすべてをさらけ出す事になるのかな。」
「さすがにそうは行きませんが、一度ドロップアウトした連中の社会復帰に光を当てて欲しいですね。」
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