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黒猫組-02 [化け猫亭-20]

「おっ、本間くん、久しぶりだね。」
「はい、今日は週刊誌に書かれてしまった件について説明させて頂く様にと、藤井組長から言われまして。
本来は黒猫組組長自らが筋なのですが、飲酒を疑われる店への入店は二十歳になるまでしない、という方針を貫いておりますのでお許し下さい。」
「無難だな、ちょっと目撃した一般人が平気でSNSにアップする時代だ、でも家では嗜んでいるのかね?」
「桜さんによれば、うちの旦那さまは法に触れる事を一切していないそうで、彼女自身も結婚してから量を減らしていましたし、今はお腹の子の為に完全禁酒状態、彼が飲酒する様な環境では有りませんね。」
「そうだった、予定日は藤井組長、二十歳の誕生日前後なのだろ。」
「はい、無事の出産と組長の成人、共に祝いたいです。」
「だな、それで、我々は週刊誌の件、あまり気にしていないのだが、面白い話でも有るのかな。」
「大した話は有りませんが、近況報告をさせて下さい。」
「分かった、佳代さん、記者会見もどきの準備をお願い出来るかな。」
「はい、しばらくお待ち下さい。」

「では、週刊誌に書かれた、猫桜会黒猫組、指定暴力団と全面抗争か、という記事に関して、黒猫組若頭から説明して貰おうか。」
「はい、ヤンキーっぽい恰好をして歩いていた、うちの若いもんが暴力団のチンピラに絡まれ喧嘩になり警察のお世話になりました。」
「内容の無い記事で、実はそれだけなのだろ?」
「はい、記者が馬鹿で助かりました。
喧嘩相手の組は最近ついてなくて、闇カジノに警察の手が入ったり、薬物販売ルートが押さえられたりとニュースになっていますが、違法性の低い商売も売り上げが落ちていまして。
上から叱責されたチンピラがイラついて喧嘩を吹っかけた様です。
犯罪関係を取材している記者がたまたまそれを知って、面白おかしく書いた訳ですが、不確かな表現ばかりで断定は一切していません。
相手の資金源事情を探り、こちらの関係企業が伸びてる事を把握していたら、もっと面白い記事になったにも関わらずです。」
「それは残念なのかな?」
「実は全面抗争ではなく、警察の協力の下、一方的に資金源を叩いていまして、バレなくて良かったですね。」
「猫又組山猫組との共同作戦が成果を上げているという事か。」
「はい、相手の組員は大勢パクられ、奴等に協力していた警察官も逮捕されました。」
「黒猫組の仕業とはばれてないのか?」
「そろそろ商売敵だと気付いたかも知れません、でも、うちが犯罪者の更生を手伝って貰う為に県警OBを雇って居る事ぐらいは知っているでしょうから、下手に手出し出来ないと思います。」
「全然アクションを起こして来ないのか?」
「組員が数名、黒猫組で使って欲しいと言って来ました、こちらの内情でも探らせるつもりかも知れませんが、即採用して災害の被災地へバラバラに送り込み教育しています。
結構真面目に働いてるそうですよ。」
「本当に組を抜けて来たとしたら、やばくないのか?」
「どうですかね、下っ端のチンピラに人手や金を掛けられるとは思えないです、色々な情報から考えると。」
「このまま一気に潰せる、なんて事は?」
「難しいでしょうね、まだ法の隙間をついての大儲けを考えていまして、一筋縄では行きません。」
「そんな情報も掴んでいるのか…。」
「ええ、一般人が迷惑を被る事を想定して対応策を検討してます。」
「暴力団事務所の内情は筒抜けという事か?」
「そうですね、組員の子ども達の事もこっそり調べていまして、何か有ったら子猫組で面倒を見て貰うかも知れません。」
「はは、相手を叩きのめすだけでなく、アフターケアも考えてるのだね。」
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