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子猫組-30 [化け猫亭-19]

「おい、聞いたか、大学を一つ猫桜会の傘下に入れるって話。」
「ああ、でも偏差値の低い大学なのだろ、メリットは有るのかな。」
「猫桜総合学園構想との兼ね合いはどうなるのだ?」
「ねえ、千沙ちゃん、真樹さんは今日のシフトに入ってないの?」
「もう直ぐ来ますよ、発表に合わせてシフトを入れたと聞きましたが、私も大学の話までは教えて貰ってません、え~っと、記者会見の準備をしておきましょうか?」
「はは、そうだな来てくれるのなら記者じゃないが会見はして頂こう…。」

「真樹さん、偏差値の低い大学を取り込んでここからはどういう展開になるのかな?」
「はい、現在定員割れを起こしている大学です。
在校生に関しては希望者以外、今まで通りの学生生活をして頂きますが、今後は文科省とも相談しつつ大幅にカリキュラムを見直して行きます。」
「文科省と相談と言うと?」
「大学の有り方に疑問を抱いている方は少なく有りません、猫桜総合学園ネットワークの参加者には力の有る方もみえます。
まずは、許される範囲で最大限に実験的な事を画策しています。」
「例えば?」
「成果型単位です、大学側が提示したカリキュラムに無い内容でも、本人が申請し研究成果をまとめられたなら、大学の単位として認めて行きます。」
「それって…、現行法で許されているのか?」
「文科省にも実験的取り組みとして認めて頂く方向で調整中です。
受け身では無く自分から取り組む姿勢を大切にしていかないと次世代が育たないという意見が多くて、まずは入試要項に盛り込まれます。」
「という事は再来年の入試からになるのかな?」
「はい、一般向けはそうなります。」
「別の流れも有るのだね。」
「猫桜総合学園として動き始めている研究室や講座を、猫桜総合学園千年大学に取り込んで行きます。」
「校名を千年大学に変えてという事か?」
「そうなります、人気の無い三流大学の中身を変え校名を変えて再生して行きます。
その過程で付属小学校なども整備し、義務教育の範囲を守りつつ柔軟な教育の出来る学校を目指します。」
「現在進めている猫桜総合学園の初等部中等部とは全くの別物になるの?」
「まだ調整中ですが、初等部中等部の活動を元に、新しい学校の有り方が検討されると思います。
公立学校で転校すべき状態になった子の受け皿としての役割も検討されています。」
「子猫組の子達も受け入れるという事かな?」
「そうですね、大きく傷ついてから保護された子達が希望すれば、しばらくは学校の有り方を研究して行くその実験的対象となる事を理解して貰った上でとなりますが、子猫組の子達を取り巻く教育環境が大きく変わるでしょう。」
「簡単に行きそうなのか?」
「公立校と実験校の狭間で戸惑う子や悩む親は出て来ると思いますが、子ども達の健やかな成長を後押しする活動を、猫桜総合学園ネットワークの人達と子猫組は考えています。
学校は多くの問題を抱えていますし、教師達が社会の変化について行けてない環境なのかも知れません。
猫桜総合学園ネットワークから生まれた教育関係の研究室は凄い勢いで拡大中、ネット上に仮想大学とも言える規模とレベルになるでしょう、すでに日本全国から集まった心有る研究者達が意見交換していますが組織としての構築も進んでいます。
この研究室が中心となって動いて下さいます。」
「そうか、実質的に大学としての建物は必要なくなりつつ有るのかな…。」
「文系の多くは通信教育に移行出来そうです、僻地に住んでいても研究出来る環境を目指してシステムの強化を進めて頂いてます。
研究室の核となって下さった方々は、各地で立ち上がって行く子猫組の子等の将来を考えて下さっています。
それは、大学入試の為の教育では無く子どもの為の教育です。」
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