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子猫組-29 [化け猫亭-19]

「真樹さん、初等部や中等部はどう?」
「学習塾の要素を取り入れ児童生徒を増やした事で、不登校の子達が落ち着いて来たそうです。
学校と違って大人の目が多く仲間意識が強いからかトラブルも起きて無いそうで、教室で授業を受ける形式ではなく学習方法をアドバイスして貰いながらの自習が中心、自分の力に応じた学習なのが好評みたいですね。」
「子ども達は前向きなのかな?」
「スタッフは一人一人の実力に応じた課題を出しています、中学生で基礎計算を練習している子でも、それが必要だと理解しています。
学校の授業との関係は時折面接をして確認、予習しない方が良い子と、先へ進む事で学習意欲を満足させる子などを判断しています。」
「そうか、本来学習塾なんて要らないと考えていたが、学校が画一的教育しか出来ないので有れば必要なのかもな。」
「学校の存在意義は低下しているのでしょうね、いじめや不登校の問題は今の制度下では減りそうにないですし、学習の何割かは学習塾に依存しているみたいです。」
「真樹さん、初等部中等部の拡大は意識しているの?」
「はい、子猫組以外へも不登校児の受け入れと学習塾としての取り組みを考えています。
現状のまましばらく運営して問題が無ければ、まずは不登校児からですね。」
「施設面は大丈夫なのか?」
「桜さんが多目的ホールの建設計画を進めて下さっています。」
「多目的?」
「はい、猫桜総合学園カラオケ教室や華道教室、茶道教室、料理教室を意識しての事です。
高等部の人数が増えたら、その教室としても使う事になるでしょうね。
不登校の子達には寮から出る機会を増やせるかも知れません。」
「活動は、お年寄りも対象にするのかな?」
「生涯学習という言葉が有るそうで、今はどんなニーズが有るか調査中です。」
「今までは若年層中心だったが…、そろそろ、という事か…。」
「単純に事業としてですよ、お金の有るお年寄りにサービスを提供して料金を頂く、タンスに眠っているお金を正しく使って頂く場を提供するのだそうで。」
「そうか、過疎地の再開発は俺達の老後を意識しての事だったが、猫桜会としてもう一歩踏み込んでも良いのでは無いかな。」
「う~ん、老人向けの展開もすでに有るが、更に…、何か案が有るのか?」
「市の高年大学が有るだろ、それに対抗して猫桜総合学園高年大学、学費を多めに頂いて若者向けの施設を充実させるとかどうだ?」
「その中にカラオケ教室とかを置くのか?」
「趣味を同じくする人達が集まれば健康寿命が伸びるだろうが、子ども達の成長を見守る様な活動をしても良いと思う。」
「ふむ、高年大学の活動には、正しい孫との接し方とその実習が有っても良いかもな。」
「なあ、養子縁組の機会に法的には意味のない祖父母を作って見守って貰う、血縁に依らない緩やかな親戚関係を生み出して、核家族から一人暮らしに向かってる社会の有り方に一石を投じる事は出来ないだろうか?」
「その為には素敵なお爺ちゃんお婆ちゃんになるべく学習して頂くという事ですか?」
「ああ、真樹さんはどう思う?」
「私は実の祖父母と縁が有りませんので良く分かりませんが、子ども達を見守って下さるのでしたら、児童養護施設の子達に…、何の知識も無く近付くのではなく、子ども達の事情を学習して下さってからならお願いしたいですね。」
「そうだな、私達も子猫組に係わる前に研修を受けた、それが無かったら失敗してたと思うよ、まず、金は有るが寂しい思いをしている高齢者をターゲットに桜さんと相談かな。」
「子猫組の為になるのなら最優先ですね、自分も調べてみますよ。」
「そして猫桜総合学園を拡大させて行こう。」
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