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子猫組-27 [化け猫亭-19]

「…、といった感じで、高等部の子達は皆前向きに頑張っているのですよ。」
「大谷さん、それを高校と呼ぶのは無理が有りそうだね。」
「ですが、対外的に中卒者を受け入れる教育機関としては高等部が分かり易いかと。」
「だろうな、それでテレビの方は何時ぐらいになるの?」
「後三か月ぐらい取材してから、加奈さまや桜さんにも出演して頂いて番組を完成させる方向です。」
「生徒各自の生い立ちにも触れると思うが大丈夫なのか?」
「一応、入学を決定する段階で了解して貰っていますが、取材が原因でナーバスになる生徒が出ない様、配慮を求めていますし、生徒の側で取材対象の生徒を選んで貰っています。
食事しながらの雑談、なんて光景も撮影を前提に彼等が席を決めているのですよ。
最近はカメラに慣れて、自然な会話になって来たそうです。」
「ねえ、絵画や書道という、有紀さんだったかな、彼女の作品を見る事は出来ないのかな?」
「写真なら直ぐお見せ出来るのですが、スマホでは画面が小さくて…。」
「それなら…、おーい、留美ちゃん出番だよ…。」

「へ~、このモニターでスマホの画像が見られるとは思いませんでした。」
「はは、簡単だよな、留美ちゃん。」
「ですね、はい、真樹さん、後はスマホの画面がそのままモニターに映し出されます、くれぐれも操作を誤って見られたくない写真を披露しないで下さいね。」
「は、はい。」
「やらかした奴がいるんだ、慎重にな。」
「人に見せられない様な写真は有りませんよ。」
「う~ん…、これは、孤独を感じさせる作品だね。」
「はい、彼女が子猫組メンバーになる前の作品です、過去の作品から最近のまで順にお見せして行きます。」

「うん、確かに才能を感じさせられるね、最近の作品は明るくて、何だろう…、こうして続けて見せて貰うと彼女の中の変化が…、何か嬉しいね…。」
「子猫組を応援して来て良かったな。」
「ああ、自分の闇を描いてたのが、人の気持ちを暖かくしてくれる作品に変わった事が分かる。」
「では、次に書をお見せします、こちらは最近の作品です。」

「文字が躍動してるな…。」
「凄いね、留めや払いに大きな意味が有る…。」
「えっ、赤色…、そうか黒白に拘っていないのか。」
「赤で情熱、薄い色で儚さを際立たせている…、書の世界では邪道かも知れないけど、これは有りだね。」
「私がお願いして書いて貰う事は有りなのかな?」
「勿論大丈夫です、特に書は絵画程時間が掛かりませんので、そうですね、高級料理店でご馳走して上げれば喜ぶと思いますよ。」
「それが料理人としての経験に繋がるという事なんだね。」
「はい、高等部の事務所が窓口になっていますので問い合わせ等はそちらへお願いします。」
「高一女子だから、妻も同伴が良いのだろうな。」
「息子達も同席させたら刺激し合ってくれるかね…。」
「早い物勝ちと言うか、すぐにスケジュールが埋まりそうじゃないか、もしかして我々を優先してくれたのか?」
「ふふ、まだ目立つ活動はしてませんので、今がチャンス、彼女にとっても、大きなプラスになると信じています。」
「確かにそうだな、上を目指すには、その世界を知る事が必要だ。」
「保護されなかったら埋もれてしまったかも知れない才能です、絵も、暗い感情を抱かせる作風のままだったかも知れません。
彼女が仲間になって直ぐその才能に気付いてくれた人達には感謝しか有りません。」
「う~ん、いきなりでは事務所も困るだろう、化け猫組で取りまとめてから相談しようか?」
「そうですね、有紀さんを餌付けするにしても、始めは店が被らない方が良いですね。」
「ああ、和食なら覚王山の…。」
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