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子猫組-26 [化け猫亭-19]

「有紀は料理と絵画や書道が中心なんだろ、普通の高校生が学習している内容は全部パスなのか?」
「まさか、信くんは実習が多いから知らないのだろうけど、結構多くの科目を履修してるのよ、ね、有紀。」
「うん、国語、英会話、日本史、古文、化学、日本料理店の料理長として身に着けて置きたい内容を中心に、新聞や本を読む事も心掛けているわ。」
「へ~、思っていたほど偏ってないのだね。」
「数学の代わりに経理関係を学ぶべきか考えてる段階、師匠からは自分が店のトップとなった時に必要な事を考えなさいと言われてね。」
「国語や英語も必要なんだ。」
「当たり前でしょ、お客様に英語しか話せない方がいらしたらどう?」
「そこは英語担当を置くとか。」
「料理長としてお持て成しする事を考えられなくてはだめなのよ。」
「日本史は役に立つのか?」
「知識豊富なお客様を相手にすると考えてみたらどう、歴史上の出来事や人物ぐらいは知って無いとね。」
「その流れで古文か、でも化学って?」
「ふふ、調理場には調味料だけでなく洗剤や消毒薬も有るでしょ、混ぜるな危険は問題外だけどね。
化学は調理に直接関係する部分だけでなく色々面白いのよ。」
「そうか…、新聞や本というのは?」
「お客様とのコミュニケーションの為よ、私がただの馬鹿だったらハイレベルなお客様は興味を失うでしょ。」
「有紀はかなり上を目指しているのだね。」
「ええ、上を目指していれば例え挫折したとしても、色々な道が有るわ、師匠は挫折する事を否定しないで指導して下さっているの。」
「君なら、どの分野でもそれなりにやれそうだもんな。
俺達は就職に直接繋がるスキルや知識をと考えていたが考え直すべきかな?」
「想像してみたらどうかしら、仕事に対して間接的に役立つ知識とか、結婚して子どもを育てる時に知ってたら良い事とか。
単に就職するだけだったら職業訓練校で良い訳じゃない、高等部に所属し時間に余裕が有る生活の中で学習して行く、人間的により成長出来る場を与えて頂いたと考えたらどう?」
「そうね、私は訓練校に毛の生えた程度の事しか考えてなかったわ、結構真面目に考えたつもりだったけど。」
「カリキュラムの見直しかな。」
「ああ、俺は三学年終了時に就職という事で、就職内定先と相談して来たが、次回は自分なりに考えた上で有紀の話をしてみるよ、今ままで考えてた内容なら二学年終了時に就職しても良い様なレベルだったんだ。」
「しかし、本当に同じ学校の生徒かってぐらいやってる事はバラバラだよな。」
「贅沢すぎるよ、俺は専門知識を企業の視点で高一から学ばせるという、まあ被験者第一号だからね、二年ぐらいかけて資質を測られ大学生と比べて貰い、認めて貰えたらより高度な学習、更に研究職も目指せるんだ、大学入試に無駄な時間を使う事なくね。」
「力が足りないと判断されたらみじめじゃないのか?」
「それは無さそうだし、もしそうなったとしても就職には問題ないからね。
大勢の大人達が自分に合った職場に導いてくれると信じているよ。」
「そうか、健一のバックアップは多そうだもんな。」
「見守る人数に対して生徒数が少な過ぎるそうだけどね。」
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