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子猫組-20 [化け猫亭-18]

「そうなると、高等部と中等部は随分違うという事になるね。」
「はい、今の初等部中等部は不登校児がメインですので、ただ、これからは学校の授業を簡単過ぎると感じている子や、ついて行けない子の為の学習塾的要素を組み込んで行けないか相談しています。
今までも、子猫組の先輩やCAT'S TAIL STAFFのボランティアが見てくれていましたが、猫桜総合学園として枠組みを整えて行きます。」
「学校法人では無くても児童生徒は増やせるのだね。」
「はい、更に猫桜会と協力関係を築いて行く児童養護施設の子達も対象に加えて行きます。
高校卒業まで養護施設で暮らす事が決まっている子を中心に、向学心の強い子、それなりの子、学力の低い子と分け、施設間で移動させてレベル別の指導がし易い体制に出来ないか検討して貰っています、勿論移動は強制では無く提案です。」
「高等部の理想は全寮制かな…、高等部の定員は、どう考えてるの?」
「スタートは三十名程度ですので考えていませんでした、特別な校舎を必要としていませんし講師陣の余力は有り過ぎですので。」
「先程、スポンサーと話していたが、話せる範囲で言うとどんな企業?」
「猫桜会傘下に入る意志が有るとだけ聞いています、株価に影響を与えるとかで具体的な社名までは公表されていません。」
「上場企業なら安心か、どれぐらいの金額を支援してくれるのだろうな。」
「学校教育は色々な問題を抱えている、ここで子ども達に新たな選択肢を提示し、それを大人達も考えて良い時期に来ていると思う。
義務教育だって内容を見直して良い、子猫組がその実験台になってくれるのなら、我々も協力すべきだ、高等部の為の寮を建てよう。」
「費用は…、寮を児童養護施設扱いに出来れば公的な支援が得られないかな、一度調べておくよ。」
「寮の需要は有る、百人規模を建てて順次増やして行く事を考えてはどうかな?」
「もう少し小規模でも…、現在の寮にも高校生は必要です、一か所に固める必要も有りません、五十人規模をあちこちに作ってレベルや目標別にしても良いのでは有りませんか?」
「まずは一つ、ニュータウンにでも建設しようか。」
「そうですね、寮に余裕が有れば白猫組の受け入れ態勢を強化出来る、老朽化が進んでいる建物も有るしね。」
「では化け猫組で取りまとめて猫桜会へ上げるよ。」
「高川組長、お願いします。」
「ねえ、中北くん、猫桜総合学園高等部から職業訓練校への流れも有りなのだろ?」
「はい、高等部でも職業訓練を考えて行きますが、はっきり就職を意識した人は移って貰って構わないと思っています、高等部生も週に何日かは現場実習という形を、生徒たちと模索して行くと思いますので。」
「あっ、中卒から職業訓練校へという希望者は?」
「はい、何人かいましたが、面接をして高等部と訓練校に振り分けました。
中卒で黒猫組を希望していた子も一旦はどちらかに所属するようにと藤井組長に言われましたので。」
「まあ、良い形になって行きそうだな、これから、どんな問題が起き、それとどう向き合っていくのか楽しみだね。
中北くん、化け猫組の一員として、企業側から、就職までに最低限身に着けておいて欲しい事や出来れば学んでおいて欲しい事を、就職希望者に早い段階で伝えられないかと考えているのだがどうだろう。」
「最低限は各社共通になると思いますので必須です、専門的な技術の習得は…、生徒と相談になりますが、皆さんの側からこんなスキルを持った人を求めていると、具体的に提示して下さると生徒もイメージし易く、良い目標になると思います。
現場をろくに知らない状態で就職を決め、自分に合わないとすぐやめる、そういう若者を減らしたいというのが我々の望みですので。」
「その辺りは松田さんが仕切って下さるのですよね?」
「ええ、間も無く猫桜会所属の調整スタッフが動き始めます、今まで学園のスタートを手伝って来た人達で、学園サイドと企業サイドの調整を担当して貰います。
ただ、学園の組織は三日で変わる可能性も有ると理解して下さい、色々な事が日々動いていまして、松尾社長が建設を進めている研究所は、猫桜総合学園中央研究所という名称になりそうだという事も、昨日聞いたばかりという状況なのですよ。」
「もしかして、名称だけ先行とか?」
「ええ、猫桜総合学園にはまだ文科省のお墨付きを得られる様な実態が有りませんからね。」
「それだと、中北くんも大変そうだね。」
「はい、当初の予想通り組織の構築には手間取っています、ですが、私達には猫桜会という大きな味方がいますので。」
「なんだ、今日は化け猫組に甘えに来たのか。」
「は、はい…、今は大丈夫ですが、状況によっては皆さんのお力をお借りする事に成るかも知れません。」
「松田さんも心配してるのですか?」
「まさか、充分なスタッフを配置していますし、不測の事態への対応も担当が考えていますよ。」
「えっ、そうなのですか?」
「中北くん、化け猫組を甘く見て貰っては困るな。」
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