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子猫組-19 [化け猫亭-18]

「学問の有り方と学習の有り方は、その根幹から見直していきます。
高等部への入学や転校を決めた子猫組のメンバーは無駄と無理のない学校を自分達で築き上げたいと話しています。
大学卒業資格の為の進学では無く、本当に得たい知識と触れ合ったり研究したりして行きたいと。」
「それは、大学生もか?」
「大学生は、卒業までの過程で講義内容を色々な視点から見直し大学を見極めたいと話しています。
子猫組の学生は大学の有り方を研究テーマに連絡を取り合い、猫桜総合学園大学の研究室として動き始めています。
例えば、猫桜会以外で大きな仕事をするには大卒の肩書が重要かもしれないが、三流大学の肩書は猫桜会傘下で働いて行くと考えた時に必要なのだろうかと、今、猫桜会系の人事部とも意見交換をしているところです。」
「教育の根幹を見直すという事かな?」
「はい、大学だけでは有りません、不登校児を対象に子猫組内でスタートさせた名前だけの猫桜総合学園に対して、その可能性を考える意見が多く寄せられています。
いじめから簡単に逃げられる場が有って良いとか、能力に有った教育を受ける場が必要だとか。」
「そうだよな、猫桜総合学園、初等部から高等部は上手く行きそうなのか?」
「フリースクールですので簡単では無いですが、初等部中等部は対象を広げる方向で、高等部は大学の教育学部でも行えない超実験的授業に協力してくれる子、最終学歴が中卒になる可能性が有り猫桜会以外への就職が不利になるという前提を承諾してくれた子達が一期生となってくれました。」
「費用面は?」
「実験的教育の場に参加、もしくは日々の活動をモニター越しに見学する人達がスポンサーを見つけて来ました。
生徒の費用負担は教材費も含めて無料なだけでなく、場合によっては学習の成果に対して奨学金を出すかも知れません。」
「三年で卒業?」
「いえ、年数に区切りは有りません、早く就職したい子は二年で終了して構わないですし、深く研究したい子は十年でも、大学の職員をしながら、助手になって、という形を想定しています。
高校を中退して参加してくれる一人はすぐに大学レベルの内容になります。
十四の大学が協力してくれますので、学部は選び放題ですよ。」
「大学の協力も有るのか…、大学が協力的な理由は?」
「国公立は学術的な意味合いが強いです、付属高校でも出来ないカリキュラムになりますので、私大は少子化の今を生き残り、学生の質を維持する事等を考えています。
どちらにしても超実験的教育を通して何かが得られるとの期待が有るのです。
中には、やはり今まで通りが良いとの結論を描いている人も居るでしょうが。」
「子猫組の子達に不安は無いのかな?」
「元々高校進学に積極的では無かった子と、学校教育に疑問を抱いていた子が中心になりますし、全員猫桜会傘下で働く事を決めています。
高校生活を通して何処のどんなポジションで働く事になるかが決まるぐらいに考えていますよ。」
「そうか、将来を見据えている子達なのだね。」
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