SSブログ

子猫組-18 [化け猫亭-18]

「あっ、中北くん、久しぶりだね。」
「はい、お久しぶりです、今日は松田さんに招待して頂きまして、皆さんに猫桜総合学園の進捗状況をお話しさせて頂ければと。」
「それは嬉しいね、興味の有る人は多いだろうから、千沙ちゃん、ちょっと声を掛けてくれるか?」
「はい、席も動かしますね。」

「中北くん、まずは職業訓練校からかな。」
「はい、一期生十名は基礎研修を受けた後、各自の希望に応じて現場実習先に振り分けられ現場を体験して貰っています。
問題があれば訓練校事務局へ連絡を入れる様話して有りますが今の所は有りません。
受け入れ側からは、真面目に取り組んでいて正規雇用を考えても良いとの話が来始めています。
ただ、二名に関しては他の可能性を模索してだめだったら受け入れると、持ってる才能をもっと活かせる仕事が有るからという理由で、事務局へは職種の推薦が届きました。」
「子猫組の一期生は優秀だって事かな?」
「そうですね、大谷組長からは、一期生は高校中退組から自信を持って送り込める子だけにしたと、二期生からは甘くないし、特に三期生は高校卒業のタイミングで人数が増えるから頑張って下さい、と担当者に連絡が届いたそうです。」
「はは、その辺りの事情は各企業も理解してくれるだろう、そして四期以降は就職に失敗した若者が対象になって行くのかな?」
「そうですね、就職希望の若者を非正規雇用の場に行かせないというのが、猫桜総合学園職業訓練校です、現場実習で上手く行かなかった人には、他の現場実習や専門的な技術を身に付けて貰う事を視野に入れています。」
「就職が卒業なのかな?」
「形の上はそうなりますが、就職後でも転職したいとかスキルアップを図りたいと言った相談には乗って行きます。
それが、猫桜総合学園の目指すところですので。」
「職業訓練校以外の進展は?」
「はい、市民講座的なものが大学の核となり基礎になりそうです。
猫桜会の強みは経営経済ですが、今まで経営者が食い物にするか見捨てるかして来た底辺層を養いながら拡大している訳じゃないですか。
そこが魅力の様で、ネットを利用しての講座には多くの申し込みが来ています、メインの講師が猫桜会の幹部という事も有りまして。
彼等の講義後、質疑を担当する講師の力量に応じて受け入れ人数を増やして行きます。」
「メインの講師って、松尾社長とかだろ、負担は大丈夫なのか?」
「講義は録画で、生ではないのですよ、受講者二十名でスタートしましたが、講師達のスキルはすでに上がり始めています、質問は似た様なものなので、それに応える形の映像を用意しました、追加の二十名からは質問が少なくなっています。」
「成程、最初の二十名が良い質問をしてくれれば、後が楽になるという事なんだね。」
「はい、受講生同士がゆっくり討論出来る環境も用意して有ります。
今は同時にスタートした人同士のみですが、有る程度理解が深まった時点で拡大したり、研究室的なものを立ち上げたり、論文を受け付けるといった事も考えています。」
「卒論的な?」
「卒業という概念を外していますので、良い論文には賞が与えられるとかになります。」
「成程。」
「もっとも、受講者の枠外で講義を見てる子猫組の大学生は、卒論にするかも知れません、彼等の視点は一般の受講者と違って面白いのですよ。」
「だろうな。」
「子猫組メンバーには受講料を発生させていない事も有って、他の受講生との交流は有りませんが、講師達は彼等の意見を参考にしています。
今は、一つの講座を多くのスタッフで作って行くという形になっていますが、ここから発展させる事を受講生も意識しています。」
「既存の枠に囚われないという事なのかな、講座は幾つ立ち上がっているの?」
「まだ、一つだけですが、学問の有り方を…。
本来、研究機関である筈の大学が卒業という肩書を与える為の組織になってるのではと、猫桜総合学園設立ネットワークに参加して下さっている方から寄せられています。」
「うん…、学問の有り方か…。」
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 6

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。