SSブログ

子猫組-13 [化け猫亭-18]

「高川さん、子猫組の事はネットで情報を探しても、あまり出て来ないですね。」
「うん、千沙ちゃん、心の狭い子もいるだろ、だから子猫組のメンバーで有る事がいじめのきっかけになる可能性は否定出来ないんだ、特に子猫組としての募集はしていないから広報の必要はないしね。」
「そうでしたか、化け猫亭の皆さんは子猫組の事を楽しそうに話されているのですが、新人の悲しさで良く分からない所が有るのです、教育学部生として、もっと知りたいのですが。」
「白猫組傘下の組織で大学生と高校生が幹部、上級生のスタッフがメンバーの子ども達を守っているという事は理解してるのかな?」
「はい、シングルマザーの子ども達、児童養護施設関係の子と高校を中退した人で構成されている事は把握しています。」
「スタッフは自分達の役目をしっかりこなしていてね。
先日、子猫組のイベントに行って来たのだが、以前は表情の暗かった子が明るい笑顔で元気にしていたよ、馴染むのに時間の掛かる子や不登校の子もいるが、集団生活の中で変わる子が多いみたいなんだ。
子ども同士が仲良くなるきっかけ、それを演出しているのが子猫組の幹部達、最近は子どもの心理に対する研究が進みトラブルが減ったそうだよ。」
「児童心理学を学ばれているのですね。」
「いや、参考にはしてるそうだが、目の前の子が何を考え何を欲しているか見極め、それに対して何をして上げて何をして上げないかを考え行動しているんだ。
彼等がそれを突き詰め分析し論文にしたら児童心理学なのかもしれないが、少し違う気がしている。
机上と現場の違いかな。」
「う~ん…、教育実習という制度は有りますが、短期間、しかも教員免許を取る事だけが目的の人もいるそうで…、児童生徒としっかり向き合う経験の無いまま教師になってしまう人がいたり…、今はブラックな職場だという事が表面化して、教員の質が低下しないか危惧されていまして…。」
「千沙ちゃんは教員志望なの?」
「教職課程は取っていますが、公立校の教員が何をしているかを知るにつれ迷いが生じ、教員以外の形で教育に係わる可能性も調べています。」
「そうか、猫桜総合学園構想の事は知ってる?」
「いえ、猫桜会で学校を作るのですか?」
「間もなく化け猫亭のスタッフにも情報公開されるからどんな構想なのかしっかり掴んでな。」
「はい、そこには子猫組も関係して行くのですね。」
「ああ、子猫組の為にも成功させたいよ。」
「白猫組は地方組織を拡大させていると聞きましたが子猫組はどうですか?」
「まずは、小さい子を持つシングルマザーを優先している事で、子猫組が他県にまで組織的広がりを見せるのは難しいんだ。
ただ、桜さん達が相談して、寮やシェアハウスで他に悪影響を与えている親を別施設に移し、その空いたスペースを利用して各地で保護する高校中退者等を受け入れて行く方向、面接の結果黒猫組という選択も有るよ。
寮で教育を受けたのち、希望者は子猫組の京都支部立ち上げに参加という方向なんだ。」
「保護対象にしたい子は全国で考えたらかなりの人数でしょうね、それでも猫桜会として少しでも保護出来れば、京都支部はその広がりの足掛かりなのですね。」
「うん、まずは白猫組を中心とした猫桜会の支部を固め、それから子猫組、この形を全国に広げたいのだが、時間は掛かりそうだな。」
「費用面は大丈夫なのですか?」
「松尾社長曰く、費用の心配は無いが人が育たないと良い形で広がらないと。」
「そうでした、人に対する投資で持続性を持たせないと意味はない、資金援助をしても、それを食いつぶして終わりでは無意味ですものね。」
「ちなみに子猫組に関しての経費は黒猫組関連で負担していてね、その事が更生した人達の励みになっている、そして藤井組長は子猫組のお父さんなんだ。」
「ふふ、随分お若いお父さんで、う~ん、それだけの事が出来る黒猫組なのだとは理解出来ていませんでした。」
「まあ、表向きは出所者の更生がメインだからね。
黒猫組はまだ余力有るそうだが、もし学費が嵩む様になったら猫又組からもという話が出ている、早く大学生スタッフをその規模にしたいのだが一気に広げる訳にも行かなくてな。」
「組織の問題が有るのですね、猫桜会は化け猫亭のスタッフになるまで思っていたのとは規模も内容も全く違っていまして、もっともっと知りたいです。」
nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。