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猫田組-09 [化け猫亭-15]

「中村さん、白猫組の組長、お引き受けする事にしましたが、ほんとに私で良いと思いますか?」
「はは、冷静に考えたら桜さんしかいないだろう。」
「そうでしょうか、人生で一番幸せな時を過ごしている私に、組員から反発が有ると思いません?」
「はは、逆に、自分の様に幸せを掴みなさいと指導すれば良いんじゃないのか。」
「う~ん、そうですね…、考えてみます。」
「これで猫桜会の組織が良い形になって来た、加奈お嬢さまと猫田組長のツートップを優秀な組長達が支える、CAT'S TAILを運営する学生組織も猫桜会に組み込むのだろ?」
「はい、白猫組の下部組織とし、ボスは黒猫組の幹部が兼任して下さる事になっています。」
「そう言えば、組織の再構築に伴って藤沢組は名称変更を考えているそうだが、もう決まったのかな?」
「ええ、猫又組だそうです、そして松尾組は猫桜会の本部、猫田組に吸収されます。」
「それは私も聞いている、資本面も整理されて猫田組は持ち株会社となって行くのだよな…、なあ、桜さん、組織が大きくなって、問題は起きて無いのか?」
「色々起きてます、特に黒猫組は問題が起きる事を前提とした組織ですので。」
「藤井組長はそれをまとめあげているのかな?」
「はい、大きめの問題は本間さんと相談してビシッと決めています、組長が出るまでも無い案件は、現場リーダー達が処理しています。
今後、組員が大きな問題行動を起こしたら、もう一度、高い塀に囲まれた施設で規則正しい生活を送って頂く事も有るでしょうが、出所後の面倒を見るという方針は変わっていません。」
「その方針を貫くのは大変だろうが、再犯率を下げるのが一つの目標だからな。」
「現時点で浮かび上がってる人は大した事の出来る人では無いと聞いています、心配なのは、カッとなり易い人です、組長から遠ざけているとは言え…。」
「難しいのか?」
「はい、一応、カウンセリングや食を含めた生活改善を試みているそうですが、一年間大人しくしていた人が何らかのきっかけで、という事も考えられます。
カッとなって傷害事件を犯し、出所後組員になった人は、生い立ちを含め分析をしていますが、単純ではないです。」
「精神科の領域なのかな…。」
「そうとも言い切れなくて、暴力的な人は本能に忠実なだけ、現代社会のルールでは許されないのですが、昔の社会ならリーダーになっていたかも知れません。」
「その議論はした事が有る、草食系男子が増えて…、難しいよな、揉め事は減ったが社会の活力も落ちそうで。
活気溢れる黒猫組はどうなのかな?」
「今の所は本間さんの指導で出所者達もまとまっていますが、組織が拡大して行くと不安は有ります。
一応、要注意人物の監視は藤沢組改め猫又組を中心に、白猫組やCAT'S TAIL STAFF、山猫組にも協力して貰いながらと考えていますが、黒猫組は刑務所から出て来た人を積極的に受け入れていますでしょ…。」
「より多く受け入れる為に事業展開を活発に、そんな気持ちを分かってくれていれば良いのだがな。」
「組員全員を教育し直す、最悪の場合でも、組員の不始末をフォロー出来る体制を黒猫組で構築して行くと、事有る毎に組長から発信しています。
やらかしてしまったら無駄に逃げず、正直に申し出る様にとも。」
「大変だな、でも、今の所は大丈夫なんだろ。」
「そうですね、不満を抱かせない様に、真面目に働けば、それに見合う給料を保障しています。」
「組員が増えても維持できるのか?」
「幹部組員は商才が有って結構稼いでいますので余裕が有ります、正直、組長の妻として動こうと思っていましたが、その必要は有りませんでした、下請け業務の利益率は標準的ですが、黒猫組幹部が進めている事業は利益率が高くて効率が良いのです。
幹部達が利用している運転手付の高級車はその結果で有り、組員達に夢を見させていますが、普通に優良企業なのですよ。」
「普通ね…。」
「まあ、猫桜会猫田組直系黒猫組の一員で有る事を誇りに感じている組員は少なくないです、運転手達が待ち時間に警護の訓練をしていたり、暴力団の弱体化を画策している連中がいたりとか。
組員達がストレスを溜め込まない様に考えているのですよ、私の旦那さまは。」
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