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猫田組-07 [化け猫亭-15]

「彼ってピュアなのよ、真っ直ぐな気持ちで猫田組に入って来たでしょ。
組長になっても真っ直ぐなままだから、眩しくてね。」
「私の可愛い弟分を桜さんにかっさらわれた気分です。」
「でも、小夜には藤沢さんがいるのだから…。」
「加奈、それとこれとは別なのよ、私のお気に入りに嫌な思いをさせたら、桜さんでも許しません。」
「そうね、その気持ちは分かる、ふふ、本間さん達も若い組長を大切にしている、藤井くんの魅力なのかしら、桜さんは彼を守ってあげたいのですか?」
「彼を守って行きたいのと、彼に守られていたいのと、今はバランスが取れてる気がする、甘え過ぎない様に気を付けているわ。」
「松尾さんは私にもっと甘えて欲しそう、小夜はどうなの?」
「う~ん、あまり考えてなかった…、改めて考えてみると…、私のすべてを許してくれてるのかな…。
それで、結婚のスケジュールは決まったの?」
「桜さんは、すぐにも入籍なのでしょ、私達はもう直ぐ婚約発表、小夜は?」
「二人と被らない様にするつもり。
彼とはブライダル関連の事業展開を考えているの、新規で立ち上げるか、どこかを買収するかは未定だけどね、桜さんの入籍には間に合わなくても、それ以降はよろしくね。」
「他との差別化は?」
「申し込んで下さった方はブライダルだけでなく、ライフプランの提案に始まって、離婚相談、再婚相談まで。
猫桜会の一員として積立保険に入って貰い、何か有ったらサポートさせて頂くの。」
「問題が生じたらカウンセリングとかも?」
「ええ。」
「桜さんみたく舞い上がってる人は、離婚相談付きを嫌がらないかしら?」
「そうかな、離婚しない為のアドバイスは売りになると考えているのだけど、恋に狂ってる桜さんにも冷静になって彼と向き合う時間を作るとかね。」
「ちょっと~、私は至って冷静よ、勢いで結婚して子を儲けてから形式上は離婚でも構わないと思ってるし。
相談したシングルマザー達も応援してくれてるのよ、むしろ始めからそれを想定しておけば離婚時に余計なエネルギーを使わずに済むかもと。
勿論、私が彼を守り続ける事が出来れば一番だけど、先の事は分からないでしょ。」
「離婚を否定しない結婚か…。」
「彼には、家庭を負担に感じて欲しくないのよ、本当なら遊びたい盛りの歳頃なのに二百人の組員を抱えている訳でしょ、だから何時でも離婚してあげるから結婚してって言ったの。」
「それで、彼は?」
「俺みたいな未熟者に愛想が尽きたら離婚で構わない、でも今は結婚して一緒に暮らそうって。」
「わ~、藤井くんらしいですね。」
「でも、いざ彼が浮気したら、桜さんは冷静でいられるかしら、大好きなのでしょ?
彼に浮気された経験は有るの?」
「うっ、で、でも子ども達の為に…、彼は養子を迎える事を考えていて、その責任を二人で背負って行こうって、子どもは実子と養子合わせて二桁を考えているから、正直言って簡単には離婚出来ないの。」
「藤井はそういう奴だから組長にしたのよ…。」
「小夜、その少し悔しそうな顔は?」
「加奈、大切な弟がどこの馬の骨か分からない女に恋してるって微妙じゃない?」
「えっ?」
「はいはい、どうせ私は素性の知れない女です、小夜お姉さま、弟さんを私に下さいね。」
「真面目な話、本当に藤井を大切にして下さい、私達は真っ直ぐなまま組長として大きくなって欲しいと考えています。
それでもまだ若いですので…、桜さんを傷つける事をするかも知れません、弟に否の有る時は私も責任を負います、よろしくお願いします。」
「小夜…。」
「猫田組直下で組長を名乗らせるのは私が義兄弟と認めた者だけです。」
「分かってるわよ、でも、その前に私達は義兄弟というか義理の姉妹みたいなものでしょ。」
「あっ、そうね…。」
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