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猫田組-04 [化け猫亭-15]

「山田さん、先日の一件、色々見えて来たそうですね。」
「ああ、佐藤、協力有難うな、楽しかったよ。
何のニュースもない我が社の株式を頑張って買い漁った人物は特定され、一応盗聴からの顛末を添えて関係機関に報告した。
麗華さん達との温泉旅行を盗撮して、妻にばらされたく無かったらと接触して来た奴は、間もなく逮捕だ。」
「週刊誌のひどい記事には、がつんと行くのですか?」
「名前まで出されては行くしかないだろ、名誉棄損だけでは済まないね、盗聴に気付いてから、すべての記録が有るから勝てるだろう。
更に、盗聴の実態を先方の出版社や記者名を公表しながら本にして稼ごうと思う。
株や浮気の話も盛り込み『盗聴されて』なんてタイトルでどうだ?」
「良いですね、盗聴器は偶然見つかった事にしておくのですか?」
「勿論さ、化け猫亭の防犯システムは極秘事項だからな。
ただ藤沢組で立ち上げた会社の宣伝はさせて貰うよ、見つけてから相談した会社という形でね。」
「盗聴器を仕掛けられたタイミングは分かりましたか?」
「思い返せば随分馴れ馴れしい女と遭遇していたんだ。
その後、化け猫亭入店まで大した話は誰ともしていなかったから情報漏洩はない、入店して直ぐに君から教えられ…、まあ後は面白かったよ、如何にフェイク情報を流すかね。」
「でも、彼女は結局、何の裏付けを取る事も無く記事にしてしまったのですよね。」
「乱暴な話だが余程ネタに困っていたのだろう、三流だからで許されると思っていたのか、何かしらのプレッシャーを受けていたのかもな。」
「偽情報に踊らされてた彼女が哀れな気もします。」
「懲役とまでは行かないのだろ?」
「う~ん、情報を他に流した事によって逮捕者が出る訳で、まあ、前科が無ければ執行猶予じゃないですか。」
「そうなったら、猫田組で面倒を見る可能性も有るのかな?」
「彼女次第です、藤井達は誰でも受け入れるというスタンス、再教育して迎え入れるかも知れません、まあ、本人が希望するとは思えませんが。」

「山田さん佐藤さん、何をこそこそ話しているのです?」
「こそこそなんてしていないよ、麗華さん、この前は協力してくれて有難うね。」
「何か不満な事でも? 麗華さん。」
「もう直ぐ佐藤さんの研修が終わってしまうのですよね、加藤くんとは全然違ってスタッフ全員に気配りをしてくれて、ずっと化け猫組組員として化け猫亭にいて欲しかったのに…。」
「麗華さん有難う、でも、これからはこのエリアをもっとお洒落な街にすべく動いて行くんだ、今は商業的に中途半端だけど、行政とは別視点でこのエリアのデザインを考えているんだ。」
「へ~、どんなデザインを考えているのですか?」
「地下鉄東山線沿いを一つの商店街に出来たら面白いと思わないか?」
「う~ん、今でも商店は有りますが…、佐藤さんは大規模な商店街を描いて見えるのですか?」
「ああ、名駅や栄だけに人を集中させない都市作り、人の流れを変えて行きたいと考えている。
まずは直ぐ近くにお洒落なイタリアンの店をオープンさせるから、山田さんとのデートに使ってね。」
「あれはただのお芝居ですよ~、私は佐藤さんとデートしたいな。」
「ホントに?」
「ホントです。」
「おいおい、化け猫亭のスタッフは店内でのいちゃいちゃ、禁止だろ。」
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