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猫田組-03 [化け猫亭-15]

「おう、佐藤、どうした?」
「まあ、これをご覧ください…。」

「…、分かった。」
「あの件は少し苦労しましたが…。」
「で、片付いたのか?」
「ええ、奴は勝川橋近くの川底で安らかに…。」
「ご苦労だったな、成功を確認したら報酬はいつも通り…。」
「有難う御座います。」
「山田さん佐藤さんと、何をこそこそしてるのです?」
「はは、佳代ちゃんは今日も綺麗だね。」
「あっ、何か隠し事をしてますね、山田さんは根が正直だから…、浮気ですか?」
「ま、まさか…。」
「あんな素敵な奥様を悲しませたらだめですよ。」
「はは、大丈夫だから暫く一人にしてくれないか、会社で少しトラブルが有ってね、落ち着いて考えたいのだよ。」
「分かりました、他のスタッフにも伝えておきます、人恋しくなったら呼んで下さい。」
「ああ、何時も気遣い有難うな。」

(筆談)
『盗聴器はどうします。』
『場所は特定できたのか。』
『たぶん…、上着を貸して頂けますか。』
『上着をどうするか口にした方が良いのかな。』
『いえ、かえって怪しまれます、トイレのBGM音量を上げてそこで確認します。
脱いで下さったら麗華さんが運んでくれます』

「山田さん、上着お預かりしましょうか?」
「うん、頼むよ。」

「山田さん、盗聴器が見つかりました、一個だけの様です、ここから電波は出ていません。
盗聴している奴にはしばらくBGMを聴いていて貰います。」
「そうか、何時仕掛けられたのかな…。」
「どの程度の偽情報を流せるかなのですが…。」
「シナリオは麗華さんも考えてくれてるの?」
「はい、メインは山田さんが私と浮気で如何です?」
「それは光栄だね、妻に連絡しておかないとな。」
「私からも連絡を入れて打ち合わせをしておきます。」
「出来れば山田さんの会社や家に他の盗聴器が仕掛けられていないか確認しておきたいのですが。」
「必要だな、お願いするよ、費用は私に請求してくれ。」
「では、藤沢組に依頼をしておきます、調査が終了するまでは、どこかに盗聴器があるという前提でお願いします。
実際に盗聴器が発見されましたので、化け猫組組員の会社や自宅調査を早める様に進言しておきます。」
「そうだな、しばらくは盗聴されながらか…、盗聴器のバッテリーはどれぐらい持つのだろう?」
「化け猫亭に来て盗聴器関連の機材が反応しなくなれば大丈夫でしょうが、邪魔になったら偶然発見した事にして終了しても良いのでは無いですか。」
「うちの会社関連なのか猫田組関連かターゲットが分からない、後、何人か川に沈めるかな…。」
「やりすぎるとバレます、それより株価が大幅上昇する様なネタを流すのは如何です?」
「我が社の株を大量に買った奴が犯人の関係者か、麗華さん、私も色々なシナリオを考えてみるよ。」
「山田さん、店で今回の件に関わるのは自分と佳代さん麗華さんの三名のみ、盗聴の事実を知るのは他にマスターだけです。」
「分かった、うちもまずは妻だけにするよ、で、佐藤くん、盗聴器は使い捨てなのだろうか?」
「はい、いずれ盗聴器の存在がこちらに分かる事を想定していると思います。」
「情報収集の後、脅しとか牽制効果を狙っているのか…。」
「これから化け猫亭で見つかる盗聴器が増えるのならターゲットは猫田組、そうでなければ山田さんは今まで以上に気を付ける必要が有ります。」
「ああ、取りあえず偽情報が上手く流れる様に頑張ってみるよ。」

「山田さん、上着どうぞ。」
「ああ有難う、なあ麗華、次の土日辺り温泉旅行とかどうだ?」
「わ~、嬉しい、でも奥さんは大丈夫ですか?」
「問題ない、趣味の仲間達と色々有るそうだよ、それより佳代ちゃんが少し疑ってるから気を付けてな。」
「はい、でも、旅館の予約は?」
「はは、もう予約済でな、下呂温泉の…。」
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