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大下穂香-13 [化け猫亭-14]

「穂香ちゃん、合宿所完成披露パーティーお疲れ様、思ってたより報道陣が来ていたね。」
「はい、加奈お嬢さまからの報告や猫田組の説明は記者達も熱心に聞いて下さいました、テレビカメラが入って猫田組の研修生達は、更に気合が入ってましたね。」
「動きが良かったし、研修生代表の言葉も頼もしかったな、中卒として全うに生きる道が有るという事を高校に馴染めてない人に気付いて欲しいと、カメラに向かってしっかり話してただろ。」
「彼は学校に馴染めなかっただけで頭の悪い人ではないそうです、組の中でリーダーとして育てるとの事です。」
「私は大学を卒業して就職する事を当たり前だと思っていた、だが世の中には色々な人がいて、色々な選択肢が有って良いのだと気付かされたよ、猫田組がどうなって行くのか分からないが、若者にとって良い選択肢の一つとなれば良いね。」
「自分達で義理と人情の猫田組を盛り立てて行くと、リーダー候補達からは色々な提案が出ていて小夜さん達はそれをしっかり受け止めているそうです。
合宿所周辺の美化は披露パーティーに合わせて彼等が自発的に担当してくれたのですが、それはエリア再開発の意味を理解しての事、また、加奈お嬢さまの活動を違う角度から支援するのが自分達だと考えている様です。」
「そうか、支える立場と考えてくれてるのか…。」

「片山さん穂香ちゃん、先日はどうも。」
「あっ、山田さんこんばんわ、山田さんは早速合宿所を利用されたのですよね、如何でした?」
「楽しかったですよ、色々な人と交流出来ましたから。
あそこに移り住んで数か月というスタッフ達は、田舎の生活に何の不自由も感じて無いと話してくれました。
猫田組の若い子達は礼儀正しくて、そうそう、災害支援チームの話は、穂香ちゃんも知らないんじゃないか?」
「はい聞いてません、どんなチームなのですか?」
「猫田組の研修生が提案したのだけど、自然災害によって生活環境が悪化した子ども世代への支援を第一に考え、猫田組が災害復旧ボランティアとして動けないだろうかと。
それを受けて小夜ちゃんはすぐに災害ボランティア研修プログラムを組むように指示を出したんだ、猫田組で被災地を応援するとね。」
「災害ボランティアは知識がないと邪魔になる場合も有るのだったな。
費用面の問題がクリアされたら、猫田組にとっても良い事だと思うよ、前科の有る人が関わって行けば更にね。」
「個人としてでは無く組織としての支援なら、支援を受ける側も安心でしょうね。
資金は寄付を募れば集まります、当然何処で何をしているかの報告は公開するでしょうから、単に寄付を募る団体より安心出来るのではないですか。
大災害の時は継続的な支援をして行きたいですね、特に過疎地の場合災害によって更に過疎化が進んでしまいそうです。」
「猫田組組員として収入が保障されていれば安心して支援に当れる。
日本から自然災害が無くなる事は無い、自衛隊や行政とは違った角度から支援出来る組織、資金が公的なものだと動きが鈍かったり不明朗な支出が生じるが、猫田組として予算を組めば大きな支援は出来なくとも、ピンポイントで有効な支援が可能かも知れないと、小夜ちゃんは即座に話してくれた。」
「小夜ちゃん達がシステムを構築するとなると、ボランティアセンターの立ち上げ方とかまで考えそうだな。」
「ですね、松尾さんが買収を表明した飲食店チェーンは日本中で展開、加奈さんとこの支社も増えて行きます、その辺りを猫田組の拠点にすれば動き易いと思います。」
「堅気の人達を守って行くのが猫田組の役割だからな。」
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