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大下穂香-12 [化け猫亭-14]

「穂香ちゃんは合宿所完成披露パーティーに出席するの?」
「はい、加奈お嬢さまのサポート役として半分仕事です。」
「あのエリアは土地区画整理事業の関係で、あちこち工事中だが、この一年で随分変わったんだよ、果樹園や花が楽しめるのは来年以降だけどね。」
「お店は工事関係者の利用が多くて繁盛しているそうですね。」
「ああ、赤字の老人世帯向け移動販売を含めてもトータルでは黒字になっている、松尾さんのおかげだ、彼が参加してくれなかったら長期的な展望は難しかったと思う。
本社移転やニュータウン計画は大きいよ。」
「市としても税収アップに繋がる訳で、土地区画整理事業を積極的に後押ししているみたいですね。」
「ああ、再開発エリアがかなり広がったからね、国道からのメイン道路は拡幅計画を急がせてるそうだ、計画をスタートさせた段階から桜さんと小夜ちゃんが圧力を掛けてたからね。
実際に事業規模が大きくなって来たから、協力しとかないと選挙で勝てないと気付いたのだろう。」
「人口が増えますものね、私が見た資料では市の人口がじわじわ減り続けて今は三万七千人台、そこにニュータウンの建設、色々な人達が順次転居して行けば、いずれ市の人口の一割は私達の関係者になるだろうと、桜さんが話しておられました。」
「だろうな、すでに猫田組で小さい土木会社を買収したのだろ。」
「後継者の育成に失敗した会社だそうですね、そんな会社でも、新たに立ち上げるより効率が良いそうです、その会社もいずれ再開発エリアに移転させるのだそうで。」
「松尾さんは資産をかなり切り崩しているのかな…。」
「いえ、資産は増えてるぐらいで、加奈お嬢さまや小夜さんの事業拡大を前倒ししたいと話しておられます、問題はスタッフの教育が追い付かない事だそうで。」
「商才が我々凡人とは桁外れに違うという事か…。」
「ちょっとした思いつきで始めた事業が大きな利益を生み出して来たそうです、それが一つや二つではなく、女神さまの僕となられてからは、その利益を社会に還元しながら更に。」
「女神さまを支えている支援金額が半端じゃないのにな、彼の関連で消費すればそれが社会的弱者救済に繋がると、消費者も分かって来ているから会社の業績が伸び、社員達のモチベーションが上がり良い人材も確保出来るという事かな。
うちも頑張ってはいるのだが、そこまではな…。」
「松尾常務の凄さは、とても小さい潰れそうな伝統工芸を守る事にも現れていますね。」
「だよな、加奈さんとの話から出たのだろ。」
「はい、簡単には習得出来ない伝統技術ですが、一人でこなしていた作業を分担して習得という形を提案しつつマーケティングを、伝統を守りつつ新しいスタイルを取り入れる事で売り上げを伸ばしているそうです、彼にとっては趣味の範囲でしょうが。」
「赤字企業でも平気で買収出来るのは、優秀なスタッフが揃っているからだろうな。」
「優秀なスタッフを揃えるだけの力が有るのですよね。
全国展開しているチェーン店を買収する計画が出ているのはご存じでしたか?」
「へー、飲食店?」
「はい、具体名は明かされていませんが業績が悪化しているそうです。
そこを再生しつつ従業員として人も再生して行こうと、支社を拡大するのと並行してやって行けばスピードが上がるという事だそうで。」
「再生できる自信が有るのだろうな…。」
「各店舗を起点に貧困層の子ども達への支援を、神レベルの事をしないと女神さまのパートナーにはなれないと話しておられましたよ。」
「マジで貧富の二極化を解消するつもりなのかな。」
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