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大下穂香-03 [化け猫亭-13]

「再就職支援に対する応募者も寮で受け入れてるのだったね?」
「はい、家賃が気になって落ち着いて研修が受けられないという人がいまして、児童養護施設出身で早期退職した人達と励まし合いながら研修や、職場実習に出かけています。」
「再就職には時間が掛かるのかな?」
「本人達にも企業側にも焦らないでと、職場実習が新人研修を兼ると考えて貰っています。
それでも、今までに二十数名が再就職を決めましたので、次の募集をしています。」
「若年層再就職支援プログラムは充分機能しているという事だね。」
「はい、再就職後の転職も気にせず相談するように伝えて有りますが、今のところは大丈夫の様です。」
「一旦加奈お嬢さまの保護下に入ったら、ずっと部族の一員というのは気持ち的に大きいのかな。」
「そう思います、今まで何らかの問題を抱え不安な時を経験してきた人達です。
就職した人達へは、何度でもやり直せる、との言葉が贈られていまして…、普通は頑張れとかですよね。」
「そうか、甘過ぎるかもしれないが…、かえって気が楽になって仕事に励めるのかもな。」
「はい、カウンセラー達もそう考えています、人を押しのけてでも出世する様な人材でなく、企業をしっかり支えてくれる人にとなって欲しいとも。」
「カウンセラーには結構な経費が掛かっているよね。」
「はい、シングルマザースタッフにも研修を受けつつカウンセリングをして貰っていますが、精神的に不安定な人は部族の中に少なからずいまして…、虐待経験からトラウマを抱えている子も。
ですが、多くのスタッフは、助けて貰った恩を返したいと考えています。
今は仕事としてカウンセラーを捉えていますが、先々はその経験を生かして、例えば、お店で共に働く後輩にアドバイスしたり出来ればとか先を見据えているのですよ。」
「あっ、部族内でのスキルアップと考えれば良いのかな?」
「はい、心に傷を負った人ばかりの部族ですが、力強く立ち上がった人達は後輩の事を考えているのです。」
「そうか、社会福祉法人として…、会社とはどうなのかな?」
「株式会社と社会福祉法人の線引きが気になると思いますが、株主の了解を得て会社の利益は会社の拡大、つまり弱者救済の活動拡大にと、配当は考えていないのです。
法的には二つの組織であり資金の流れや使途は違いますが、目指す所は同じ、部族として一つの組織と言えるのです。」
「そうか、京都支社が立ち上がった後、支社候補が幾つか出て来ている、中小企業からの支援と自分達で稼いだ資金で、不幸な立場に有る子どもを一人でも多く助けて行きたいよな。
穂香ちゃん、色々教えてくれて有難う、私も自分に何が出来るか見直してみるよ。」
「暫くお忙しかったそうですが大丈夫なのですか?」
「ああ、落ち着いた、今まで、さぼりがちだったが私も化け猫クラブのメンバー、会の一員として恥ずかしくない活動をしないとね。」
「宜しくお願いします。」
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