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大下穂香-02 [化け猫亭-13]

「穂香ちゃん、今まで、どんな事情の家族を保護して来たの?」
「メインは病弱な母親と子どもの家庭です、シングルマザーで苦労して来た人達ですので、寮でもシェアハウスでも、スタッフ全員でフォローして行こうという雰囲気になっています。
おっきい男の子達は男子寮で、少しおっかないけど優しい寮母さん達に見守られながら、児童養護施設出身の先輩達と女神さまを崇めるチームになっています。
少し人の道をはずれ掛けてた子も、女神さまご降臨の時は真っ赤になって何も言えなくて可愛かったですよ。」
「加奈お嬢さまは男子寮へも行ってるんだ。」
「回数は少ないですが、お土産持参で。」
「それは大喜びだろうな。」
「それが、皆さんシャイで、緊張し過ぎて倒れる子がいました。
寮生代表が自分達の近況報告をしてくれるのですが、締め括りの言葉は、加奈お嬢さまの為に我々は全身全霊を捧げます、みたいな。」
「美の女神さまに保護して頂いたらそうなるのかな、彼らは真面目にやっているのか?」
「はい、学校とは少し違う角度からカウンセリングをしていますので。」
「どんな?」
「高校の成績が悪い子には勉強しなさいではなく、就職までの流れを説明しつつ工場見学、農場見学などをして貰っています。」
「結果は?」
「まだ、何とも言えませんが農業に興味を示している子がいたり、仕事という事を真面目に考え始めた子もいます。」
「そうか、進学とか考えてる子はいないのか?」
「生活が落ち着いて、一気に学年順位を上げた子がいます。
元々頭の良い子だったのでしょうが、こういう例を目にされた加奈お嬢さまは、もっと活動を広げなくてはと、話しておられました。」
「持っている能力だけでなく、環境によって可能性に差が出てしまうのか…。」
「はい、男子寮では加奈お嬢さまに恥ずかしくない男を目指そうと、学習会を開いたりしています。
部族の男としてどう有るべきかをカウンセラーを交えて話し合ってもいるのですよ。
報告を見ていると、女神さまに対する絶対的な忠誠心が感じられて頼もしいです。」
「色々な子がいると思うが、いじめみたいな事はないよな?」
「始めの内は誤解が有ったそうですが、今は、この社会事業を加奈お嬢さまの名の下に進めて行くのが自分達の役割だと考えていますので、自ずと思いやりの気持ちが高まっています。
休みの日には子ども達の相手をしに女子寮へ、敢えてタイプの違うメンバー、元気な子の相手をする人と大人しい子の相手をする人、勉強を教える人が組んで、まあ、女子高生目当てでも有るのでしょうが楽しそうにやってます。」
「予算面は大丈夫なのか?」
「男子寮の維持費は社会福祉法人を支えるという形でスポンサー企業が援助して下さっています。
それを受けて、再就職を目指し研修を受けている人達は、スポンサー企業で活躍したいと話しています。
独り立ちして寮の部屋を後輩にという事も考えてくれています。
落ち着いて働ける様になったら、例え僅かでも維持費を出す、それを目標にしている人もいるのですよ。」
「そうか、無理せず結婚と子育てを考えて欲しいのだがな。」
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