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高松加奈-46 [化け猫亭-12]

「小夜、会社を立ち上げてみてどう?」
「特に変わりは無いかな、今までの顧客だけで充分な利益を確保出来る見通しは立っているし、個人から株式会社に変えたと言っても、しばらくの間は学生の実務経験の場という意味合いが強いの。
今はグループ以外の新規を考えて無いから、うちのウエブサイトには気合を入れないでとお願いしておいたわ。」
「だから藤沢さんにしては簡単な…、でも、小夜の写真だけで良くない?」
「加奈とは友達だし、我が社も謎のグループの一員となったのよ、その中心は加奈なのだから良い写真でしょ。」
「そのグループ、秘密が暴かれそうな雰囲気になってないかしら。」
「ばれても良いの、化け猫亭に一般客は入れないから、会員に成りたいという人は増えるでしょうが。
マスターは安易にメンバーを増やす事は考えてなくて、今のお客様方が不快になる様な状態にはしたくないと話してた、大丈夫でしょ。
それより、来週の番組だけど。」
「うん、今週の流れは小夜的にどうだったの?」
「良かったと思う、私達の紹介コーナーは局のスタッフが頑張ってくれたし、私の少し過激な発言を起承転結の起としたら、桜さんが承転を受け持ってくれて、加奈は結として上手くまとめてくれた、三人が時間をおいて語る事で視聴者の皆さんに考える時間を生み出す、私はどれだけ叩かれても仕事に影響ないでしょ、それを桜さんと加奈がフォローする、私達の個性を印象付ける事に成功したと思う、うちのスタッフもその辺りの分析が出来てたわ。
そうそう、加奈の登場した水曜日からはサイトの閲覧数がぐっと増えて、藤沢さんは予想以上だと喜んでいたのよ。
CMとかで知名度は高いし、女神さま感が…、加奈は頑張ってると思う。」
「まあね、視聴者の方に与えるイメージを色々考えてはいるの、私の僕を名乗る方々をがっかりさせない様に、でも、少し上から目線になってしまってアンチも増えたでしょうね。」
「そんな連中は気にしなくて良いのよ、加奈のファンは下僕になりたい人がメインなのだから。」
「下僕だなんて…。」
「集団で助け合って生活したい人には寮、集団が苦手だったり家から出られない人には在宅ワーク、良い流れだと思う、今度は安川さんのスタッフを受け入れるのでしょ。」
「ええ、充分更生出来ていると判断した人をうちで引き受ける、それによって安川さんは新たな出所者を引き受ける事が出来る、隣同士の店で顔馴染みだから、うちのスタッフに抵抗はないみたいなの、どんな犯罪を犯したのか早い段階で告白して貰ってた事もあってね。
安川さんが何を目指しているのか、うちのスタッフもしっかり理解してるのよ。」
「住まいは?」
「しばらく安川さんの用意したアパートで暮らして貰いながら寮への引っ越しを検討中、だけど男子寮の寮母という選択肢も有るの。
寮母とならなくても、経験談を語る事で犯罪に対する抑止になると考えている人がいてね。」
「塀の中の生活は私も興味が有るわ、話を聞いてみたいな。」
「そうね、化け猫亭に呼んで体験談を語って貰いましょうか、勿論ギャラが発生しますが。」
「ご本人に抵抗が無いので有れば良い企画ね、番組にも出てくれたら犯罪と出所後のフォローを考えて貰う良い機会になるのだけど。」
「そうよね、再犯に走らせないための取り組み、企業も動いてはいるのだけれど規模が小さくて。
安川さんの所も少しずつ拡大していると言っても、大きい店では無くて大勢は雇えないでしょ。
だから、今度は合宿所関連で出所者とその監督を雇用する場を作りたいと話してみえた。
その所属がうちなら、その方々のモチベーションが上がるだろうともね。」
「そうね女神さまの僕となったら悪いことは出来ないわ。」
「桜さんからも、田舎の合宿所関係で働く人はうちに集約したいと言われていてね、学生は現地で動きにくいし。」
「始めの頃から、大学生は合宿所の利用者と想定していたものね。
加奈、私の方で資金の流れは検討するから、心配しないで現地スタッフを増やして良いわよ。
安川さんとも連絡をとって、桜さんと相談するね。」
「小夜がそう言ってくれると本当に安心出来るわ。」
「すでに行政サイドにも、ささやかな提案をしているの、桜さんと私で市長さんに協力をお願いしに行ってね。」
「ふふ、結果は聞くまでも無いか。」
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