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高松加奈-42 [化け猫亭-12]

「杉浦さん、スタッフの転居や子どもの転校はスムーズに行ってますか。」
「ああ、子ども達は新学期が始まらないと何とも言えないが、母親達は報告を見る限り田舎も、市内も大丈夫そうだ、引っ越しはサポートスタッフが手伝って楽しく済ませたみたいだよ。
田舎の合宿所完成までにはまだ時間が掛かるが、親達も合宿所で働き始める前に慣れておいて欲しいと、新学期に合わせて引っ越しを早めて貰った、彼女達には地域の人との交流も仕事の内だと話して有るんだ。
子どもを通せば親同士の繋がりも自然に出来るだろう。
合宿所の業務が始まるまでは通販の作業や、畑の管理を手伝うそうだ。」
「市内はともかく、田舎組は少し心配です。」
「なに、うまく行かなったら交代すれば良いだけさ、それは市内組も同じだよ。」
「そうでした、何度でもやり直せるのですね。」
「後、再婚に向けて寮から出る事を考えてるスタッフがいる。
相手の男性を紹介された安川夫妻によると、可もなく不可もなくだそうで、見守るしかないと話してみえた。」
「そうですか…、とりあえず十数室、寮の空きが出来た訳ですが、それで充分かどうかは全く分かりません。」
「やはり、児童養護施設を出る子達が気に掛かるのか?」
「はい、大きなハンデを背負って社会に出て行く訳ですので、限界になる前に頼って欲しいと思いませんか。」
「そうだな、周辺地域の児童養護施設を通して、うちの相談窓口を知らせて貰っているが。
そうそう、男子寮も一棟確保出来そうだよ、檜田さんが少し古い寮を提供すると申し出て下さってね。
どれぐらいの人数が頼って来るのか分からないが、少ないのなら他の養護施設に声を掛けても良いと思う。
多い様なら化け猫クラブが支援してくれるよ。」
「安心しました、テレビ番組でも少しだけ触れるつもりですが、将来的には対象年齢を上げたいのです。」
「そうだな、大学卒業後に苦労してる子が居るかも知れない、保護した後の就職先にはグループ企業も考えているから安心してな。
一旦部族の一員となったら、私達の保護下に入った我々の子として守って行く、サポートメンバーの総意だよ。」
「有難う御座います、甘えさせて頂きます。
スタッフの仕事ぶりは如何ですか?」
「みんな頑張ってるよ、社内組織という概念を社員達が持った事によって、管理者の負担を減らせたと思う。
通販や店は充分な黒字、家政婦部門は顧客に甘えてスタートした割に好評だが大きな利益というのは難しそうだ。」
「はい、数字は見ています、店は三店舗目を意識して構わないと思っています。
家政婦部門は善意に頼ってスタートしましたが、確かに拡大は難しそうですね。」
「人を企業への派遣に振りたいから、積極的に新規顧客開拓はしない方向で良いかな?」
「はい、お客様方にご迷惑をお掛けする事が無ければ構わないです。
人材派遣業の方は如何ですか?」
「彼女たちのスキルを見極めた上での派遣だからね、基本的に正規雇用を意識している。
勿論、正規雇用になっても部族の一員、子育て支援を続ければ仕事に打ち込めそうな人を派遣しているんだ。
それに対して彼女達は金銭面で寮を支えられる様にと頑張っている、今まで無料だった寮費を沢山納めたいとかね。
我が社に来て貰ってる人は、自分のスキルを生かせる職場で嬉しいと話してくれたよ。
仕事ぶりから、近々正社員にと、部下も評価しているからね。」
「子育てがハンディにならない体制ですか?」
「ああ、彼女の仲間が応援しているし、残業は無いからな。」
「子どもは?」
「小学三年生、親が帰ってからも友達と宿題したり遊んだり、一人っ子を五人まとめて面倒を見てくれてるスタッフがいるのさ、親同士も仲が良くてね。
両親共働きの一人っ子より恵まれているかも知れないよ。」
「そういうものですか。」
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