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高松加奈-26 [化け猫亭-10]

「加奈さん、今度はニートにも仕事の場を提供するんだね。」
「ふふ、働き始めた瞬間からニートでは無いですよ。」
「CAT'S TAILスタッフがやってた作業を引継ぐという形だろ、スムーズに行くのかな?」
「今はスキルの条件をかなり厳しくしていますが、それでも応募者が有りまして。」
「へ~、どんな人なの?」
「人間関係に疲れて引きこもっていた方です、スキルを考えたら、うちで良いのですかというハイレベル、でも、在宅勤務なら報酬が安くても構わないと。
会社の事情は分かっているから、私の僕になりたいと担当者に話したそうで…。」
「はは、アルフィーのファンがアル中と名乗るみたいに、君のファンは僕を名乗るのかな。」
「ちょっと変ですよね、最初に小夜が言い出したおかげで…、多くの僕をこき使ってるというイメージが付いてしまったら、私、お嫁に行けません。」
「はは、もう遅いよ、すでに加奈お嬢さまの僕を名乗ってる人はかなりいるだろ。」
「みたいです、大学でもさり気なくガードされていまして…。」
「自主的にやっていて君に危害を加えないのなら良いじゃないか。」
「社長令嬢では有ってもお姫さまでは無いのですよ。」
「はは、お姫さまではなく、君を女神と崇めるスタッフは増えたの?」
「はい…、女神ではないのですけど。」
「そう言えばスタッフの部屋をネットで紹介していたね、収納のコツとか興味深い内容だったな。」
「家政婦という仕事を考えたら、幼児がいてもそれなりに整理された部屋であるべきだと。
そして古い建物ですので自由なリフォーム可としたら色々なアイデアが出て来まして。」
「結局一棟丸ごとスタッフの為にとなったのだろ、お父上も太っ腹だな。」
「いえ、もう古い建物ですので、シングルマザーのシェアハウスが完成したら、取り壊して二棟目を建てようかと考えています。」
「それは、強気だな。」
「生活苦から解放された人達のパワーは凄いのですよ。
私からの指示は、働き過ぎない様にの一つだけになって来ました、サービス残業禁止と言っても、食事しながら勝手に会社の事を話し合っていたりしまして。」
「愛社精神が有れば自然な流れさ、私も酒を飲みながら仕事の話をしていたが、それが楽しかった。」
「そうですか…、趣味を勧めても手芸で売れる物を作れないかとか、趣味か仕事が分からないのです。」
「それで良いんじゃないのか、彼女達は社会的弱者から、それを守る立場になろうとしているのさ。
きっかけは加奈さんが作った、この取り組みが成功する事を多くの人が望んでいるから、君は強気なんじゃないのか。」
「はい、ただ、スタッフ全員が会社の経営状態を把握していますので、何とか黒字にしたいと、頑張り過ぎないで欲しいのです。」
「子ども達がいるから大丈夫だろう、子どもも随分増えたのかな?」
「大きい子達には仲間意識が芽生えていると聞いています。
今は小学四年生が一番上ですが、三年生の女の子が仕切ってるそうです。
転校して来て、学校に馴染めていない子の面倒をみたりして、サポートしている学生からは、暮らしの変化を理解し、何をするべきか考えていると報告が有りました。」
「頭の良い子なんだろうけど、それまでの暮らしを想像してしまうな。」
「はい、私の子でも有りますので陰ながら見守って行きたいです。」
「子どもが大きくなったシングルマザーは受け入れないのか?」
「小さい子の面倒を見てくれる様な女の子をお持ちの方はそろそろ受け入れても良いのかと思っていますが、中高生の男の子はまだ難しいです、独身女性ばかりですので…、シェアハウスが完成したら今以上の共同生活になります、でも、いずれ向き合わなくては行けません。」
「そうか…、簡単ではなさそうだな、スタッフの中には再婚を考えてる人もいるのだろ。」
「はい、そのサポートもこれから考えないと。」
「はは、本当にスタッフの母親みたいだね。」
「そんな事は…。」
「父親役は化け猫亭の客がやるしかないのかな。」
「えっ?」
「子ども達にはお爺さんと言う存在が多くても構わないだろ。」
「ですが、すでにスポンサーとしてシェアハウスの建設に協力して頂いてますし…。」
「二十歳そこそこの加奈さんが頑張ってるのに私達が動かなくてはな、まあ、婆さん連中は暇してるから適度な刺激になると思うよ。」
「有難う御座います、私には大した力が無いのに多くの方々に支えられて…。」
「君の最大の能力は、多くの人が協力したいと思わせる力だよ、加奈お嬢さまが女神となって事業を推進しているからね、同じ事を他の人がやろうとしていても、手伝いたいとは思わなかったと思うんだ。」
「女神さま扱いは行き過ぎていると思うのですが…。」
「良いじゃないか、我々のシンボルでも有るのだから。」
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