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高松加奈-18 [化け猫亭-09]

「加奈さん、桜さん達と俺達の合宿所予定地を見に行ったのだろ、どうだった?」
「宿泊施設は合宿所なのですか?」
「ああ、多目的な利用を意識しているからね。」
「普通の田舎でしたが。」
「田舎は何処も人口の減少が進んでいるだろ、減少に歯止めを掛けるには都市部に住む人が考え動かないと無理だと言うのが化け猫クラブが出した結論なんだ。」
「結論は分かりますが、化け猫クラブは、初めて聞きました。」
「化け猫亭の客の中で、桜さん主導の企画に賛同してお金を出す個人の集まりさ、加奈さんへの支援は企業だから、ちょっと違うんだよ。」
「皆さんがお金を出し合って田舎に投資する、という事ですか?」
「投資というか、自分達の手でもう一つの故郷、住み易い故郷を作ってみようという実験なんだ。
家庭菜園やお花畑の手入れを老後の楽しみに考えてる人もいてね。
隣人が化け猫亭の客なら安心だろ。
化け猫クラブのメンバーはもう五十人ぐらいになっているんだよ。」
「五十人ですか。」
「ここへはたまにしか来ない奴も、面白そうだからと乗ってくれてね。」
「桜さんからお聞きした合宿所の規模で大丈夫なのですか?」
「良い環境を整える事に成功したら拡大して行くよ。
まずは、仕事を引退した人が宿泊して菜園の維持管理、うちの親は楽しみにしているんだ。
休日は現役世代と入れ替わるから、皆が色々体験出来るだろう。
土地が安いからと近くの土地を購入しようかと考えてるメンバーもいてね、ただ、老人ばかりが増えては駄目だろ。
だから、家政婦を雇う事を考えているのさ、子持ちのね。」
「分かりました、でも再婚希望の人は送り込みにくいです。」
「それなりに出会いの機会を作って行くさ、日帰り出来る所だから、まあ、仕事ぶりが良ければの話だがな。」
「暫くは意識の高い人しか雇えないと思っていますが…、色々難しそうですね。」
「ああ、難しいと思うよ、なんせリーダーの集りでも有るからね。
五十人のリーダーが集ったらどうなると思う?」
「個々の資質が問われますね。」
「そこを議論するのが面白くてな、まあ酒を飲みながらなのだが。」
「どんな方向性なのですか?」
「互いに尊重し合うが、エリアの開発で勝負…、というより知恵と金を出し合うという感覚かな、桜さんは学生との意見交換の場を考えてくれてるし、田舎の良さを残しながら都会の人でも長期滞在したくなる様な町を目指しているんだよ。」
「住宅と自然のバランスを考えて、という事ですね。」
「ああ、地元の人とのコンタクトも桜さんが取り始めてくれてる、こういう時に美人である事や社長という肩書が役に立つんだよ。」
「ふふ、桜さんにお願いされたら断れません。」
「はは、それは加奈さんも同じだろ。」
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