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高松加奈-14 [化け猫亭-09]

「加奈さんは家政婦さん達に至れり尽くせりだと伝え聞いたが、実のところはどうなの?」
「そこまでの事はさせて貰っていません。
ただ、彼女達は環境を整えれば自立出来る人達です、今まで悪循環に陥っていた訳ですが、しっかりとした支援をすれば、独り立ちし健康で文化的な生活を送る事が出来る様になると考えています。」
「小さい支援では抜け出せないという事か。」
「はい、その場しのぎでは、子どもの将来を考えた時に不安しか残らないと思うのです。」
「そうかもな、それで事業規模の拡大は考えているの?」
「ええ、古い社員寮の空きが有りますので、まずは十名まで増員します。
その後は高松家で何人まで養えるかを検討して貰っています。
さすがに大勢の子どもをうちで面倒を見る事は出来ませんので、保育士資格をお持ちの方を雇い認可保育園設立の検討を進めて貰っています。」
「見ず知らずの人を養うという感じなのかな?」
「状況は異なりますが、昔の大店は貧乏人の子どもを養っていた一面が有ると思いませんか?
貴族がメイドを雇っていたのも同様だと思うのです。
それぞれの考えによって雇われていた側の環境や気持ちは随分違っていたとは思いますが…。
待遇が良ければ、ずっと主の為に働こうと思うでしょうし、悪ければ、何時か恨みを晴らしてとか。」
「そうか、高松家には必要以上の家政婦を雇う財力が有る、それを活かして加奈お嬢さまを女神と仰ぐ家来を増やす事が出来るのか。」
「永井さん、表現がおかしいですよ。」
「又聞きだから…、う~ん、好条件で加奈お嬢さまに救って貰った人が増えたら、大きな力になるだろうし、そうなって行かないと事業の拡大は出来ないのかな。」
「まだ準備段階です、どんな人でも受け入れるというレベルには程遠いですよ。」
「従業員が子育てしながら余裕を持って収益を上げる体制作りか…。」
「何時になるかはこれから仲間になって下さる方次第ですね。」

「永井さん、少し加奈さんと話がしたいのだが、だめかな。」
「どうぞ、私は席を外した方がよろしいですか?」
「いや、永井さんも加奈さんの事業に興味が有るのでしょ。」
「はい。」
「田中さん、どんなお話しなのです?」
「私の姪にも所謂シングルマザーがいてね、楽では無さそうだが自力で何とかやっているんだ。
それで、加奈さんの話をしたら、仲間が協力し合ってという事に興味を示してね。
余裕が出来れば貯金も早く貯められると、彼女は自分の店を持ちたいと考えているのだよ。」
「頼もしい方なのですね、一度お会いしたいのですが、出来れば店の事業計画を簡単で良いですから教えて頂きたいです。」
「了解した。」
「では、こちらの名刺を、化け猫亭の会員と話して下されば仮の秘書が受け付けますので、姪御さんとの橋渡しをお願いします。」
「おお、着実に進んでいるのだね。」
「はい、焦らずじっくりと進めています。」
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