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高松加奈-08 [化け猫亭-08]

「加奈さん、この前は桜さん小夜ちゃんと三人で話してたね。」
「ええ、たまには店の売り上げに貢献しようかと。」
「何、話してたの?」
「起業についてです、桜さんは、CAT'S TAILだけでなく違う展開も視野に入れています、小夜は企業のお手伝いを考えていますが、私はまだ何も描けてませんでしたので、色々案を出して貰っていたのです。」
「良い案は出た?」
「加瀬さんのご意見も聞かせて頂けたら幸いなのですが、まずは社会貢献というテーマを掲げました。
社員にとっても顧客にとっても嬉しい会社です。
社長令嬢の私が言うな、と怒られそうですが、今は貧富の差が激しいです、そこを少しでも解消出来る事業をビジネスとして成り立たせる事は出来ないのかと、意見を出し合ったのです。」
「貧困問題は本人の自覚や能力が大きく影響して難しそうだね。」
「そうかも知れません、ですが、生活設計を真面目にサポートしてくれる人がいれば、シングルマザーになってしまったけど前向きに考えてる人は楽になると思うのです。」
「貧困ビジネスではないよね?」
「勿論です、まずは公的機関から情報を頂いて、私達の手で支える事の出来る人の応援から始めたいと考えています。」
「それを加奈さんが一人で?」
「いえ、CAT'S TAILのスタッフにお願いします、株式会社を立ち上げる時も、学生の実習を兼ねる事になります。」
「まずは学生に働いて貰う訳か。」
「桜さんによれば、こういった作業をやりたい人は少なく無いそうです。」
「しかし、ビジネスとして成り立たせられるのかな。」
「難しいとは思いますが、まずはシングルマザーの支援を考えています。
小学生以下の子どもを抱えたシングルマザー専用のシェアハウスを作れば彼女達の負担が減ると思いませんか。」
「あっ、彼女達にとっては効率が良いかもな。」
「気の合う人同士食事を一緒に作ったり交換したり、子ども同士遊んだり出来ます。
一つの案として、彼女達には保育や調理を学んで貰い、父の会社の保育園拡充や社員食堂で働いて貰う、とか、桜さんが今後展開する会社の従業員や小夜が人手不足と判断した企業に斡旋したり、その過程で会社側から、運営費を出して貰うという形、単に従業員を確保という事ではなく、弱者の生活を安定させる活動の一環だと捉えて頂ければ維持は出来ると思うのです。
その中に力のある人が居れば、別事業展開を考える事も出来、成功すれば規模を拡大出来ます。」
「スタート時が一番難しいのかな。」
「はい、社としての収入が無い段階で、研修中から、住まいを用意し安心して生活出来る給料を支払う必要が有ります、桜さんと小夜はスポンサー探しが私の役目だと。」
「分かった事業計画がまとまって来たら私にも報告してくれないか、社会貢献は優良企業の義務だからね。」
「はい、お願いします。」
「彼女達の立場は派遣社員にするのか?」
「そちらは法律を学習中の小夜が法学部の人達と検討してくれます。
どんな働き方が子育てをしながらの女性に最適なのかは、誰と相談しようかという段階ですが、仲間には様々な学部の真面目な学生がいるからと、桜さんが動いて下さいます。」
「そうか、営利企業としてより社会福祉法人の様な形態は考えないの?」
「いいえ、スタートは赤字でも人を集める事が出来ればそこから事業拡大出来ます、業種に拘らず拡大し利益を上げる事を目標にしています。」
「なるほど、どうなって行くのか楽しみだね。」
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