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高松加奈-03 [化け猫亭-08]

「初めまして、高松加奈と申します、永井さんですね。」
「おお、スタッフになってくれたんだ、この前のピアノ演奏良かったよ。」
「有難う御座います。」
「小夜ちゃんとは、どれぐらい練習したの?」
「練習なんて何もしていません、話したのも演奏後が初めてです。」
「へ~。」
「小夜は芸風が近いかもと思い、一緒に弾いてみようと思ったそうです。」
「実際は?」
「近いですね、普段家で弾いてるのはショパンもどきだったりしますが、彼女も似た様なものだと。」
「そこに、もどきが付く意味は?」
「ショパンを弾き始めても途中から楽譜を追うのが面倒になって適当に演奏、頭は全然別の事を考えていたりして、母から曲では無いと言われます。」
「音楽の天才では無いのだね。」
「はい、ただ、父は録音して何か分析しようとしています。」
「う~ん…、ただの親馬鹿なのか、どこかに天性の才能を見出しているのか…、お会い出来たらお聞きしてみたいものだな。」
「もう直ぐ来ますので紹介させて下さい。」
「それは嬉しいね。」
「永井さんは何か楽器をなさるのですか?」
「高校生時代クラリネットを、あまり上手くなかったけどな。」
「今はされてないのですか?」
「もっぱら聴く方さ。
ねえ、加奈さんは同じ楽器でも…、例えばクラリネットがクラシックの演奏家によって演奏されるのと、JAZZプレイヤーによって演奏されるのでは何か違うし、マーチングバンドでの演奏…、プロとアマの差も有って、同じ楽器でも演奏者によって随分違うと思わないかい?」
「そうですね、私はCDでプロの演奏を聴くぐらいですが、そう言う視点は面白いです。
ピアノでも同じで、小夜と私が同じ曲を同じピアノで譜面通りに弾いても違ったものになります。
まあ、小夜とは譜面を見ながらの演奏は無いと思いますが。」
「インプロビゼーションか、練習無し、初めての共演が…、二人はプロになれるのでは?」
「いいえ、本当のプロは全然違います、私達のはお遊びレベルですよ。」
「お遊びね…、で、また聴かせてくれるの?」
「ええ、父が聴きたいと言ってましたので、今夜は小夜を誘って有ります、もう直ぐ遊びに来ますよ。」
「もう友達感覚なの?」
「はい、意気投合という感じです。」
「個性的な子だろ。」
「ただ単に正直で素直なだけではないのですか。
小夜は自分自身の為に私の父との接点を持ちたいと話してくれました。
変に言い訳めいた事を言わず、社長との接点を作る事で自分の可能性を広げる為と、私の周りは何かうじうじした人が多くて。」
「そうだな、その辺りがおじさん達を弄んでいても人気の理由なのかな。
加奈さんも弄ぶタイプ?」
「そんな~、私は永井さんに弄ばれないかと震える、か弱き乙女ですよ。」
「う~ん、小夜ちゃんと同じ波動を感じる…。」
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