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鹿沢桜-06 [化け猫亭-06]

「皆さんの会社では高卒の人も雇用しているのですか?」
「うちは工場や事務職で雇っているよ、すぐやめてしまう子も居るが真面目な子も少なく無い、部署のリーダーになって年上の大卒社員を使っている人もいるよ。」
「その場合は、いずれ大卒の人が昇進して立場が入れ替わったりするのですか?」
「ケースバイケースだね、大卒だからと言って必ずしも優秀とは限らない、十八の頃から現場で積んだ経験を活かし部長になった人もいる、うちは能力主義だからね。」
「うちは、事務の女の子ぐらいかな、職種的に高卒には向かないんだ。」
「営業職はきついだろうな、でも、うちの事務には高校で色々な資格を取って来た真面目な子がいてね、素直だから可愛がられているよ、大卒より作業が的確で速いし。」
「大卒、高卒問わず当たり外れが有りますよね、就職試験や面接だけでは見抜けないです。」
「だから、真面目な学生と交流して、出来れば優秀な学生を我が社に迎え入れたいのだよ、桜さん。」
「急に人手不足感が広がっていますものね。」
「元々愛知は失業率、低かったからな。」
「うちは機械化計画を前倒ししたよ。」
「おかげで我が社が潤う訳だ。」
「お二人は、そういうご関係でしたか、私の所は機械化が難しい作業が有りましてね。」
「そういう作業は無くならないのかな、でも、世界の人口が増え続けている事を考えると、機械化が進むのは怖い気がしますね。」
「失業率か…。」
「営業もAIがする様になるのかな。」
「悩ましい問題だな、私達は趣味に生きる事になるのか…。」
「でも、接客サービスはロボットではなく生身の人から受けたいですね。」
「ですよね、いずれ人の意識が変わって行くのかもしれませんが、こうして、桜さんを囲んで皆さんと話せるのはとてつもなく贅沢な事かも知れません。」
「はは、そうだな、だから化け猫亭に通ってしまう、おっと、CAT'S TAILの売り上げにも貢献したいかな。」
「自分がたこ焼き買いに…、行ってきま~す。」
「あれっ、張り切って買いに行ったね。」
「う~ん、今だと…、麻里ちゃん目当てかしら。」
「ここに来る前に店を覗いたんだろうな。」
「たこ焼きのテイクアウトが有るのは店の強みだね、あの店におじさん一人で席に着くのはハードルが高いよ。」
「えっ、そうか、私は一人で行ってパフェとか注文してるがな。」
「お~、勇者だ。」
「油断してると、香川さんに優秀な学生達を持って行かれてしまうのか…。」
「はは、店員達の受け答えが良くて気持ちの良い店だが、そんな話はしてないよ。
まあ、客の少なそうな時間を狙って行くと話し相手をしてくれる事もあるけどな。」
「どんな話をされるのですか?」
「昨日は、都市の有るべき姿というテーマを振ってみた。」
「難しいテーマですね。」
「香川さんは、どんな考えをお持ちなのです?」
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